2015 Fiscal Year Annual Research Report
連続切片からの三次元再構法の確立と透過型電子顕微鏡への応用
Project/Area Number |
15H00461
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 展弘 東京大学, 大気海洋研究所, 技術職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 電子顕微鏡 / ウルトラミクロトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は生物組織の全体像の把握と内部の詳細な解析を一試料で行う簡便な方法を開発することを目的とした。 1. まず、光学顕微鏡用に連続切片を作製する手法について検討した。観察終了後に透過型電子顕微鏡用に再調整するため、試料には1mm程度の大きさで樹脂包埋したものをもちいた。ウルトラミクロトームで作製した試料をスライドガラスにリボン状に切片を回収しやすい治具を作製し利用することで、比較的、方向性が揃い、しわの少ない切片を回収することができるようになった。 2. 続いて回収した切片についてCT化処理をおこなった。切片像の位置補正に課題があることが分かった。切片にシワやゴミ、染色むらが認められると簡単に補正ができなくなるため細心の注意が必要であった。上述の治具を利用することで、この問題も比較的解決に向かったが、試料によってはシワが発生しやすく試料作製条件の再考が必要な場面もあることが示された。 3. 最後に光学顕微鏡で観察した試料について、エポキシ樹脂に再包埋し、ウルトラミクロトームで超薄切片を作製し、定法に従い透過型電子顕微鏡で観察した。光学顕微鏡観察用にトルイジンブルー染色をおこなっていたが、通常利用する倍率では影響がないように認められた。 以上より、ミリ単位の一つの試料から光学顕微鏡レベルのCTデータと透過型電子顕微鏡での微細構造の両方を回収できるようになった。本研究で検討した項目でいくつかの試料を試したが、その有用性は明白であった。本法は電子顕微鏡を利用する研究室なら一般的に設置されている設備だけで完遂できるというメリットがある。しかし、試料作製に膨大な時間が必要であり、また細心の注意も必要であることが示された。
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Research Products
(1 results)