2015 Fiscal Year Annual Research Report
ビンクリスチンによる神経障害発現に及ぼす併用薬および薬物動態関連遺伝子多型の影響
Project/Area Number |
15H00477
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石川 雅之 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 抗悪性腫瘍剤 / TDM / 神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】 ビンクリスチン(VCR)は急性白血病や悪性リンパ腫などに広く用いられる抗悪性腫瘍薬であるが、その重篤かつ頻度の高い有害事象に神経障害があり用量規制因子となっている。現在のVCRによる治療は主に体表面積に基づいた投与設計がなされており、VCR血中濃度に影響する因子はほとんど考慮されていないのが現状である。そこで、VCRによる神経障害に及ぼす併用薬および薬物動態関連遺伝子多型の影響をVCR血中濃度測定に基づいて検討するために、実臨床に耐えうるVCR血中濃度測定法の検討を行った。 【方法】 VCR溶液を健常人血漿100μLに添加して標準試料を作製した。メタノール100μLを添加後に上清をLC-MS法で測定した。分離にはODSカラムを、移動相には0.1%ギ酸およびメタノールを用いた。検出にはESI-MSを用いた。 【結果・考察】 VCRは保持時間約8.5分に溶出され、2.0ng/mL以上の濃度において十分なピーク強度が認められた。VCR 2mgを患者に単回静脈内投与した後の消失相における血中濃度はおよそ0.5~10ng/mLと示されていることから、本法はVCR血中濃度を測定する有用な方法になり得ることが示唆された。また、これまでに報告されているVCR血中濃度測定法は、いずれも前処理として固相抽出を、測定にはLC-MS/MS法を用いている。そのため、本法の前処理に要する時間は既報と比較して短く、より汎用性の高い簡便なVCR血中濃度測定法になり得ることが示唆された。
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