2015 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患領域におけるタクロリムス血中濃度が及ぼす腎機能障害への影響
Project/Area Number |
15H00482
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加藤 正太郎 秋田大学, 医学部附属病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2015
|
Keywords | タクロリムス / ループス腎炎 / CYP3A5遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】タクロリムス(FK506)は臓器移植後の免疫抑制療法において重要な役割を担うが、血中濃度安全域が狭いため、血中濃度モニタリング(TDM)が必要不可欠となる。近年、関節リウマチやループス腎炎(LN)などの自己免疫疾患領域に対しFK506の適応が拡大されたが、本領域において血中濃度と副作用との関連は明らかにされていない。また、本領域においてFK506は移植領域と用法用量が異なり、1日1回夕食後に投与される。我々はLN患者において、FK506誘発性急性腎障害(AKI)発現に及ぼすFK506服用12時間後の血中濃度(C_<12h>)およびCYP3A5遺伝子多型の影響について検討を行った。 【研究方法】秋田大学医学部倫理委員会の承認を得て同意を得たLN患者35名を対象に、FK506服用開始から1年間調査を行った。AKIは血清クレアチニン値を用いてCTCAEver. 4.0に基づき評価し、グレード1以上で発現と判定した。AKI発現の有無で患者背景を比較し、またCYP3A5遺伝子多型別にC_<12h>を比較した。 【研究成果】AKI発現群(n=5)の年間平均C_<12h>の中央値は、非発現群(n=30)と比較し有意に高かった(6.6vs. 2.8ng/mL、カットオフ値 : 5.2ng/mL、P=0.001)。またCYP3A5*3/*3患者群の年間平均C_<12h>の中央値は、CYP3A5*1アレル保有患者群と比較し有意に高かった(4.6vs. 2.5ng/mL、P=0.002)。AKIの発現はFK506投与後およそ3カ月以内に認められたが、AKI発現までの期間はCYP3A5遺伝子多型間で有意差が認められなかった。AKIはFK506服用後3カ月以内に発現する頻度が高い。そのためFK506投与開始前にCYP3A5遺伝子多型解析を行い、その後TDMを実施することがLN患者におけるFK506適正使用において重要であることが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)