2015 Fiscal Year Annual Research Report
腎障害時の薬物血中濃度上昇における薬物トランスポーターOATP4C1の役割
Project/Area Number |
15H00485
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 紀宏 東北大学, 大学病院薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | OATP4C1 / 腎障害 / 薬物投与設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 臨床では、腎機能を考慮した薬物投与設計を行ったにもかかわらず、予期せぬ薬物血中濃度が上昇やこれに伴う副作用発現をしばしば経験する。原因薬物の血中濃度上昇に、尿細管血管側に発現する有機アニオントランスポーター(OATP)4C1がどの程度関与するかの基礎的情報の収集し、慢性腎不全患者における薬物投与設計に貢献することを目的とする。 【研究方法】 1. 実際の臨床症例より抽出した候補薬物について、OATP4C1における相互作用の有無を評価する。2. OATP4C1安定発現細胞株を樹立する。3. OATP4C1安定発現細胞株を用いた薬物輸送解析を行う。4. OATP4C1による薬物輸送変動要因の探索を行う。 【研究成果】 樹立したOATP4C1安定発現細胞株によるtriiodothyronine(T3)輸送に対して、種々の薬物の阻害を検討した。その結果、シクロスポリンA(10μM)およびフルバスタチン(10μM)が阻害を示すことが明らかとなった。OATP4C1を阻害したフルバスタチンの輸送試験を実施したところ、フルバスタチンがOATP4C1の基質であることが明らかとなった。他方、臨床症例を解析したところ、レボフロキサシン、シスプラチン、カルボプラチン、TS-1、リリカなどが対象薬物として抽出された。これらの薬物については未検討のため、OATP4C1の輸送に対する阻害影響の評価を行う予定である。また、既報によると、OATP4C1の輸送に関わる基質認識部位は2か所あると考えられている。今回は、T3を基質とした阻害試験により検討を進めたが、別の基質輸送に対する阻害試験を行うことで、OATP4C1に親和性を持つ薬物が多く検出できる可能性がある。今後は、エストロン3硫酸、フルバスタチン等の基質を用いてOATP4C1の基質となる薬物を検出する計画である。 本研究により、OATP4C1の新規の基質候補薬物が抽出された。今後の検討で、これらの薬物の血中濃度上昇要因に尿細管血管側に発現するOATP4C1が関与することが明らかとなれば、慢性腎不全患者における新たな薬物投与設計方法の提案が可能となるかもしれない。
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