2015 Fiscal Year Annual Research Report
3次元培養系を利用したPI3K阻害剤の抗動脈硬化作用の検討
Project/Area Number |
15H00507
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
内田 雅士 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2015
|
Keywords | 血管平滑筋細胞 / PI3K |
Outline of Annual Research Achievements |
目的 : 動脈硬化症は心疾患系諸疾患の基礎病態であり、未だに直接的な治療薬が存在しない。動脈硬化巣では血管平滑筋細胞(SMC)のphenotypic modulationによる増殖能亢進が肥厚形成の主要因となる。様々な研究にも関わらず、phenotypic modulationのメカニズム解明と治療応用は進んでいない。本研究では通常のプレート培養で得られる動脈硬化型SMCと、ハニカムと呼ばれるI型コラーゲン3次元培養系で得られる分化型に近いSMCを用い、PI3K阻害剤に対する増殖への反応の違いとそのメカニズムを明らかとすることを目的とした。 方法 : 両培養系で培養したSMCに対し主にPI3K classI、IIIを各々阻害するGDC-0941やwortmanninを添加し蛋白発現や増殖への影響を調べた。 成果 : (1)プレート培養ではGDC-0941によるPI3K classIの阻害により、蛋白質の翻訳開始に関与し蛋白合成を促進するeIF4Bの発現低下が見られた。またコントロールと比較して増殖が低下した。(2)プレート培養についてwortmanninでは(1)のような変化は認められなかった。(3)ハニカム培養では培養開始直後よりPI3K classIの基質リン酸化が低下しており、PI3K活性が低下していると考えられた。またeIF4Bの発現が著しく低下していた。(4)ハニカム培養したSMCにGDC-0941やwortmanninを添加した場合、eIF4Bの発現に対する影響はほとんど認められなかった。以上よりPI3K classIのpathwayがSMCの増殖に関与している可能性が示された。またPI3K classI阻害剤が動脈硬化型SMCに特異的に作用する可能性が示された。さらにそのメカニズムとしてeIF4Bの発現制御が示唆された。
|
Research Products
(2 results)