2015 Fiscal Year Annual Research Report
肺移植後のイトラコナゾールが及ぼすカルシニューリン阻害薬への影響の個体差要因解明
Project/Area Number |
15H00526
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 裕也 京都大学, 医学部附属病院薬剤部, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2015
|
Keywords | 肺移植 / イトラコナゾール / カルシニューリン阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究成果】 肺移植患者においては、肺アスペルギルス症の予防を目的としたイトラコナゾールの投与が必須となるが、イトラコナゾールが有する肝薬物代謝酵素CYP3A4の阻害作用により、移植後拒絶反応抑制のために投与されるカルシニューリン阻害薬の血中濃度を大きく上昇させることが知られている。この薬物相互作用には個体差が大きく、イトラコナゾール併用時のカルシニューリン阻害薬の減量基準は未だ確立していないことから、肺移植患者においてイトラコナゾールが及ぼすカルシニューリン阻害薬への影響に関して解析を行った。 京都大学医学部附属病院においてイトラコナゾール内用液が併用されたタクロリムス投与患者32名及びシクロスポリン投与患者30名を対象とし、NONMEM解析にて検討した。タクロリムスの血中濃度/投与量比はイトラコナゾールの併用により平均4.2倍に上昇したことから、イトラコナゾール併用時には、タクロリムスの投与量をイトラコナゾール併用前の約25%に減量することが望ましいと示唆された。一方、シクロスポリンの場合は、イトラコナゾールの併用により血中濃度/投与量比が平均3.3倍に上昇したことから、イトラコナゾールの併用に際してシクロスポリンの投与量を約30%に減量することが望ましいと示唆された。 【得られた成果の意義・重要性】 カルシニューリン阻害薬の血中濃度は患者の病態および併用薬により大きな影響を受けることから、患者の状況に応じて血中濃度を測定し投与量を調節することが必要である。本研究のように、NONMEM解析に基づき、イトラコナゾール併用時におけるカルシニューリン阻害薬の投与量変更について提案する試みは、患者の状況に合わせた処方設計を行う上で非常に重要であり、社会的意義も大きいと考えられる。
|
Research Products
(1 results)