2015 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制剤タクロリムス散剤の適切な調剤方法及び安全性の検討
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15H00527
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
丸尾 陽成 岡山大学, 岡山大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | タクロリムス / 調剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫抑制剤タクロリムス(FK)の安全な調剤方法について、実際に調剤の現場で起こっている汚染について明らかにするべく検討を行った。 まずタクロリムス製剤(プログラフ®)からLC-MS/MS(API2000, AB sciex)を用いて微量なFKを直接検出・定量する系を確立し、製剤のFK全量を検出することができた。 製剤の再調剤に伴う飛散の検討として、タクロリムスカプセル1mg(成分量)を10カプセル開封したものをサンプルとして検討を行った。その結果として、10cmの高さからカプセルを開封した際、中心から5cmの範囲以内で95%, 5~10cmで4%、10~15cmで1%が検出され、15~20cmでは検出限界以下であった。本結果から、通常の調剤では10cm以内が回収可能であることから、調剤総量の99%は回収可能であり、1%は飛散していることが示された。 調剤者への付着の検討として、タクロリムスカプセル1mg(成分量)を10カプセル開封した時のマスク・ゴム手袋・保護キャップをメタノールに浸し、10分間超音波処理したものをFKサンプルとした。マスク・キャップからはFKは検出されなかったが、ゴム手袋からは1.5μgが検出された。本結果から、カプセル開封時の防護策としては衛生上必要とされるキャップ・マスクで十分であるが、ゴム手袋に関しては次の調剤へのコンタミネーションを考慮する必要があると考えられた。 分包機の汚染の検討では、タクロリムスカプセル1mg(成分量)を10カプセル開封したものを自動分包機で分包し、ガーゼで拭き取り残留物を回収した。その結果、65μg/10mgのFKが検出され、残留が明らかになったことから混入のリスクが示唆された。 本研究の結果は、調剤方法の検討や除染の必要性を示唆するものであり、今回の検討で適切な防護策や清掃を検討する上で必要となる基礎と方法を構築できた。患者や調剤者の安全に寄与できるものと考えられる。今後さらに汚染の実情や除染方法の検討を重ねることで、医療安全上意義のある研究になると思われる。
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Research Products
(1 results)