2015 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性菌出現防止を目的としたドリペネムのPK-PD理論に基づく投与設定法の確立
Project/Area Number |
15H00530
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山﨑 美穂 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2015
|
Keywords | ドリペネム / 重症感染症患者 / 耐性菌選択濃度域 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドリペネム(DRPM)の投与に関しては、薬効発現、耐性菌発現防止の観点からPK-PD理論に基づく適切な投与方法が必要となる。しかし、DRPMが頻用される重症感染症患者のPK-PD評価に関する報告は乏しい。本研究では、細菌の最小発育阻止濃度(MIC)を上回る抗菌薬血液中濃度の保持時間(Time above MIC% : TAM)および、耐性菌選択濃度域(MSW)内に推移する時間(T_<MSW> in the dosing interval : T%_<MSW>)に着目し、重症感染症患者におけるDRPMの投与速度が、TAMおよびT%_<MSW>に及ぼす影響を明らかにし、耐性菌発現防止を考慮したPK-PD理論に基づくDRPMの投与設定法を構築する事を目的とした。 本研究ではDRPMのみではなくメロペネム(MEPM)に関しても検討を行うため、DRPM・MEPMの血中濃度の同時測定法の確立を行った。HPLC/UV法を用いた分析時間10分以内でのMEPMおよびDRPMの同時測定が可能であった。両薬剤において0.05-200μg/mLの濃度範囲で良好な直線性と再現性(CV<9.5%)を示した。本測定法を用い、重症感染症患者(DRPM1名)より得られた血液を用い、2015年1月から12月に本院にて検出されたAcinebacter baumannii、Enterobacter cloacae、Pseudomonas aeruginosaのMEPM (DRPMと同等の感受性であると仮定して)への薬剤感受性に基づくTAMの評価を行った。上記3菌種において、今回の患者では、それぞれ、93、100および91%の確率で治療の指標であるTAM>40%を上回ることが確認できた。 本研究では、重症感染症患者におけるDRPMのTAMの評価を可能とし、今後、変異株発現阻止濃度の測定を実施することでT%_<MSW>の評価も行えることを明らかにした。
|