2015 Fiscal Year Annual Research Report
変遷する危険ドラッグを確実に識別可能な分析法の確立
Project/Area Number |
15H00542
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Research Institution | 石川県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
石丸 麗子 石川県警察本部刑事部科学捜査研究所, 科学捜査研究所専門研究員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 位置異性体識別 / 合成カンナビノイド / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
危険ドラッグ鑑定において構造異性体の識別は極めて重要であるが, フルオロベンジル基をN1位に有する合成カンナビノイドのフッ素位置異性体に関しては, マススペクトルによる置換位置の特定は困難であった. そこで, 電子イオン化(EI)-トリプル四重極型質量分析計(MS/MS)を用い, コリジョンエネルギー(CE)を変化させて得られるスペクトルデータを定量的に解析することで異性体識別できないか検討した. AB-FUBINACA(para)およびその位置異性体(ortho, meta)を分析対象とし, GC-EI-MS/MSによるプロダクトイオンスキャン分析(プリカーサーイオン : m/z 109, 253, 324, CE値 : 5-50V)を行った. その結果, プリカーサーイオンがm/z 253もしくは324の場合において, m/z 109とm/z 253のシグナル強度が異性体間で異なることがわかった. m/z 109のm/z 253に対するシグナル強度比の対数値ln[I(109/253)]は, meta <ortho <paraの関係にあり, 異性体間で有意な差が認められた. これは, インダゾールからフルオロベンジル基が開裂するのに要するエネルギーの違いに起因していると考えられた. また, CE値に対するln[I(109/253)]のプロットは, いずれの異性体も直線性を示していた. さらに, o-, m-, p-モデル化合物を合成し, 同条件で分析したところ, 得られた各プロットはAB-FUBINACAの各種異性体とほぼ重なり合った. また, 同様の骨格を有する他の合成カンナビノイドについても, 置換位置に応じて, モデル化合物のプロットと重なり合うことがわかった. これより, モデル化合物と分析対象のプロットを比較することでフッ素の置換位置を容易に判断できるようになった.
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Research Products
(1 results)