2015 Fiscal Year Annual Research Report
癌患者家族の抗がん剤曝露による健康被害防止を目的とする生活環境と曝露要因の調査
Project/Area Number |
15H00552
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
河田 圭司 山梨大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 抗がん剤 / 曝露対策 / シクロホスファミド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、抗がん剤治療を行う患者と生活を共にする患者家族及びその生活環境への抗がん剤による汚染状況を調査し、曝露による影響を十分に考慮にいれた抗がん剤曝露対策を検討していく上での解決策を提案することを目的とし、今回揮発性により曝露が大きな社会問題となっている抗がん剤シクロホスファミドの汚染状況を調査した。研究方法として、当初同意を得られた患者及び患者家族よりアンケート調査、尿検体の採取および環境調査のための家庭内の拭き取り調査を行う予定であったが患者の都合により同意が取得できた、拭き取り調査1例のみをおこなった。 拭き取り調査は、玄関ドアノブ、廊下、トイレの便器、洗濯槽、台所床(食卓の床)、気になる所(冷蔵庫のドア)の6ヵ所をおこなった。その結果台所床(2.99×10^<-1>ng/㎠)及び冷蔵庫ドア(1.80ng/㎠)よりシクロホスファミドが検出された。それぞれより検出された濃度は(独)労働安全衛生総合研究所より報告されたシクロホスファミド汚染に対する評価と対策から判断すると台所は、「低減対策が必要」、冷蔵庫のドアは「直ちに低減対策が必要」と非常に高レベルな汚染状況が明らかとなり早急な対策を必要とする結果が得られた。ただ、この拭き取り方法は、拭き取り方(丁寧さ・力の加減等)が測定値に影響を与え、曝露量の正確な値がわからないことがあるといわれる方法である。従って正確なシクロホスファミドの汚染量の把握にはさらなる調査が必要である。本研究により家庭内にはっきりと汚染が広がっていることが確認された。 今後、この研究を元にさらにシクロホスファミドばかりでなく、他の抗がん剤の汚染状況についても明確にしていき、わかりやすい抗がん剤の曝露対策を行っていきたいと考えている。
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