2015 Fiscal Year Annual Research Report
新生児・乳児におけるミダゾラムによる逆説的反応発現リスク因子の解析
Project/Area Number |
15H00555
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 愛 東京大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | ミダゾラム / 逆説的反応 / 新生児 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本申請研究においては、新生児急性期病棟で鎮静に対して繁用されるミダゾラムに関し、治療上の障害となる過興奮やペダル漕ぎ様の不随意運動等の逆説的反応に着目し、その発症リスクを上昇させる患者要因を反映する情報を検索し、ミダゾラムの投与開始時に逆説的反応の発症リスクを事前に評価・予測できる判別法を構築する事を目的として研究を行った。 【方法】2011年1月から2014年9月に、東京大学医学部附属病院の新生児集中治療室に入院していた出生後1年未満の乳児・新生児を対象とし、ミダゾラム使用患児に関して、基礎情報、疾患情報、臨検値等の情報をカルテより抽出し、逆説的反応発現患児と発現しなかった患児の比較をした。 【結果】性別、修正在胎週数、疾患情報に関して逆説的反応発現と相関性は認められなかった。一方、身長、体表面積において負の相関性が認められた。また、臨検値に関し、血清カリウム値(K)とC反応性蛋白(CRP)で正の相関性が認められた。そこで、これらに関してROC曲線を用いて解析した結果、Kに関してAUC値が0.695となり、逆説的反応発現と最も強い正の相関性が認められた。予測精度の向上の為、KとCRPに加えてその他の臨検値を組み合わせた逆説的反応発現リスクの予測モデルを構築し、多重ロジスティックス回帰(MLR)解析を行い、得られたMLRモデルに関してROC曲線を用いて解析した結果、AUC値は0.739を示し、各種臨検値を単独で使用した場合より高い精度で逆説的反応発現患児を分離できる事が示された。さらに偽陰性率を20%に設定してその予測精度を検証した所、陽性と判定される患者の約6割において逆説的反応発現が認められた。今後は更に症例数を増やすとともに、ミダゾラムの血中濃度と逆説的反応発現との関係性の評価や逆説的反応発現と相関する新たなバイオマーカーの探索を視野に入れて研究を行っていく。
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Research Products
(1 results)