2015 Fiscal Year Annual Research Report
エレクトロポレーション法を用いたトランスジェニックフライ作製法の確立
Project/Area Number |
15H00584
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
梶原 徹 大分大学, 医学部・生体構造医学講座, 技術専門職員
|
Project Period (FY) |
2015
|
Keywords | ショウジョウバエ / トランスジェニック / エレクトロポレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】「トランスジェニックフライ」はショウジョウバエを用いた遺伝学的解析に広く利用されているが、その作製には煩雑で、かつ熟練した技術を要する「インジェクション法」が採用されてきた。これに代わる簡便な作製方法として「エレクトロポレーション(電気穿孔)法」を確立し、広く普及させることを目指す【研究方法】1)ショウジョウバエ胚の調整方法に関する検討 コリオンの除去の必要性、胚の配列方向を一定とする(生殖細胞系列が存在する後極側から遺伝子が導入されるように配列する)必要性について検討した。さらに遺伝子導入を行う際に胚を浸す溶液の組成などについても検討を加えた。 2)シャーレ白金プレート電極の妥当性の検討 主にシャーレ白金プレート電極5mm gap (ネッパジーン社, CUY520P5)を用いて、様々な電圧・パルス条件下に遺伝子導入を試みた。特に電圧強度とパルス時間について詳細に検討した。 3)生殖細胞系列への遺伝子導入の評価 遺伝子導入した胚の生存率の評価を行うとともに、成虫の眼色の変化(白色から赤色へ)を指標として、mini white遺伝子(複眼を赤眼にする遺伝子)の生殖細胞系列へのトランスジーンの成功率を評価した。 【研究成果】1)胚の調製方法 遺伝子導入のためには胚のコリオンを除去する必要があることを明らかにした。また、遺伝子導入時、胚の配列方向を一定とし、生殖細胞系列が存在する後極側から電圧をかけることが必要であることも明らかとなった。 2)電極の決定 キュベット電極、Sピンセット円形白金電極、さらにシャーレ白金プレート電極の3種類を用いて遺伝子導入を試みたが、胚をDNA溶液中で浮かせないようにすること、胚の配列方向を一定にすることの2つの条件を満たすためには、シャーレ白金プレート電極の使用が必須であることが明らかとなった 3)電圧・パルス条件 胚とDNA液(250ng/μ1)を混合し、NEPA21エレクトロポレーター(ネッパジーン社)を用いて、様々な条件下でエレクトロポレーションを行った。Transfer pulse 40V, pulse時間50 msec, Poring pulse 300V, pulse時間2msecを基本となる遺伝子導入条件として、これを微調整することによってトランスジーン効率の最適化を図った。しかしながら、トランスジーン効率は低く、満足すべき結果は得られなかった。
|