2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H00597
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
森 加奈恵 佐賀大学, 総合分析実験センター, 技術職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | PCR(ポリメラーゼチェーンリアクション)法 / DNA損傷 / 電離放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】本研究はデジタルPCRシステムによるDNA損傷分析法の確立を目的とし、DNAへの電離放射線(以下、放射線)照射を行って、照射線量当たり及び放射線の種類によるDNA損傷の差異を測定するものである。 また、本学共同利用機器の管理・運営を行っている総合分析実験センターの職員として、利用者に対してきめ細やかな支援業務を行うため、平成26年度新規導入されたデジタルPCRを用いた実験を行うことは必要不可欠なことである。 【研究方法】 (1)放射線照射DNAサンプルの調製 プラスミドDNA(pUC19)を0.1~1ng/μLの濃度の水溶液に調製し、0~500Gyまで10段階の線量を設定してガンマ線を照射した。ガンマ線の照射は総合分析実験センター放射性同位元素利用部門のガンマセル40を用いて行った。 (2)デジタルPCRによる損傷分析 照射DNAサンプルをデジタルPCRシステムで分析する。測定は佐賀大学総合分析実験センター共同利用機器であるデジタルPCRシステムを用いて行った。 (3)リアルタイムPCRによる損傷分析 対照実験として、同じ照射DNAサンプルをリアルタイムPCRにより分析し、CT値で比較した。CT値とは、蛍光強度が増幅プロットの閾値と一致するPCRサイクル数を指す。 【研究成果】デジタルPCR分析の結果から、線量依存的にポジティブ数が低下、特に100Gy以上の高線量域に置いて急激に減少することがわかった。これは高線量域になるほどPCRを阻害するような重大な損傷が多くなるためだと考えられる。一方、リアルタイムPCR分析では、線量依存的にC_T値が増加、すなわち、PCR効率が低下したが、高線量域ではほとんど差が見られなかった。このことから、デジタルPCRを用いることで、放射線DNA損傷をより高感度に分析することができたと考えられる。今後は、より低線量の損傷分析や、放射線の種類による違いを検討し、本法の放射線障害分析に対する有効性を明らかにしていく。
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Research Products
(3 results)