2015 Fiscal Year Annual Research Report
HisRSスプライスバリアントの抗Jo-1抗体に対する抗原性の検討
Project/Area Number |
15H00621
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
重藤 翔平 信州大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 抗Jo-1抗体 / スプライスバリアント / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的]多発性筋炎/皮膚筋炎で認められる抗Jo-1抗体の抗原はヒスチジルtRNA合成酵素(HisRS)であり、近年HisRSは、一部のドメインが欠損するスプライスバリアント(HisRS-SV)の存在が報告されている。現在、臨床で用いられる抗Jo-1抗体の検査には抗原として主にリコンビナント蛋白が用いられているが、完全長のHisRS(FL)のみが用いられており、このSVは含まれていない。よって本研究ではHisRS-SVに対する抗Jo-1抗体の反応性を検討した。[方法]THP-1細胞よりクローニングしたHisRS-FLおよびSVを大腸菌ヒスチジンタグ発現ベクターに組み込みコンストラクトを作製し、リコンビナント蛋白を得た。Niセファロースカラムにて精製した蛋白を固相抗原とし血清中の抗体を検出するELISAを確立した。対象として抗Jo-1抗体陽性患者血清13例(Jo-1+)、および健常者血清10例(NC)を用いた。[結果]ELISAで測定された吸光度の平均値はそれぞれ、FLがJo-1+ : 1.14(最大値2.43、最小値0.27)、NC : 0.10(最大値0.19、最小値0.04)、SVがJo-1+ : 0.75(最大値1.87、最小値0.13)、NC : 0.07(最大値0.12、最小値0.04)であった。HisRS-FL, SVどちらにおいてもJo-1+の吸光度の最小値はNCの最大値を上回った。SV/FL比は平均値0.68(最大値1.40、最小値0.48)だった。[考察]抗Jo-1陽性患者血清においては、すべての症例でHisRS-SVに対して反応性を示した。これは抗Jo-1抗体の認識エピトープがFLとSVに共通のドメインであるとする報告と一致する。しかしSV/FL比を見ると平均値0.68に対し最大値が1.40となり、症例によってSVに対する反応性は一様ではないことが明らかになった。
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