2015 Fiscal Year Annual Research Report
APTT正常例における内因系凝固因子活性の分布に関する研究
Project/Area Number |
15H00622
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴山 正美 金沢大学, 附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 内因系凝固因子活性 / APTT試薬 / 参考基準範囲 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液の止血は、凝固因子・血小板といった因子が中核となって反応が進行する。健常成人における凝固因子活性の参考基準範囲の検討で、これまでに一部の凝固因子活性が、年齢、性別、血液型と関連のあることを報告した。さらに内因系凝固因子活性は測定系にAPTT試薬を用いており、APTT値は使用する試薬により値の異なることが知られている。APTT試薬の組成はリン脂質と活性化剤より構成されており、前者として動物由来セファリン、植物由来セファリン、合成リン脂質等があり、後者は主にエラジン酸、シリカがある。そこで組成の異なる4種類のAPTT試薬を用いて凝固因子活性を測定し、その影響を検討した。対象は健常成人77名で、検体は3.2%クエン酸加血を用いた。測定試薬は、各凝固因子欠乏血漿(シーメンス社)およびAPTT試薬として①トロンボチェックAPTT-SLA、②トロンボチェックAPTT(共にシスメックス社)、③コアグピアAPTT(積水メディカル社)、④PTT-LA(ロシュ・ダイアグノスティクス社)を使用し、第Ⅷ. Ⅸ・ⅩⅠ・ⅩⅡ因子をコアプレスタ2000(積水メディカル社)で測定し、比較した。さらに、試薬①にてCS-5100(シスメックス社)で測定した値と比較した。試薬別の第Ⅷ、Ⅸ、ⅩⅠ、ⅩⅡ因子活性(%)の参考基準範囲はそれぞれ①59.8-160.3、66.0-135.5、64.5-133.2、46.0-130.5、②37.3-138.0、62.3-143.0、64.5-143.2、47.0-135.3、③54.5-142.8、56.3-125.5、61.3-125.5、36.8-116.0、④57.0-180.0、67.4-135.5、64.5-138.7、36.0-136.0、であった。各試薬間の相関関係は良好であるが、基準範囲は大半の試薬間で差異を認めた。また、試薬①にて、CP2000とCS-5100での測定値を比較したところ、相関関係は良好であるが、CS-5100の方が有意に低い成績となった。 凝固因子活性は、標準血漿のAPTT値から求めた検量線より算出するにもかかわらず、使用するAPTT試薬による差、さらには測定機器による差も確認された。従って、内因系凝固因子活性の評価は、測定施設毎の基準範囲を設定する必要があることが判明した。
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Research Products
(1 results)