2015 Fiscal Year Annual Research Report
小児熱性けいれんに伴う脳症とけいれん重積症を鑑別する新規髄液マーカーの探索
Project/Area Number |
15H00638
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
星 京香 福島県立医科大学, 医学部 生化学講座, 主任医療技師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | α2マクログロブリン / 小児熱性痙攣 / 髄液 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】小児の熱性痙攣はほとんどが軽症疾患によるものだが、重篤なケースでは髄液検査が行われる。熱性痙攣の症状を示す疾患には脳炎(髄液による診断が容易)、脳症(24時間以内の早期治療が予後に大きく関係)、痙攣重積症(鎮静剤の投与で完治)がある。特に、脳症と痙攣重積症は全く治療法が異なるにもかかわらず、両者を判別するマーカーがないことから早期診断が難しい。我々は、脳症患者の髄液中α2マクログロブリン(α2M)が顕著に増加し、入院加療にて正常レベルまで低下する症例があることを見出した。本研究では髄液中α2Mが脳症と痙攣重積症を区別するための疾患マーカーとなりうるかを多数症例にて検討する。 【方法】熱性痙攣のうち①重篤な症状を引き起こす脳炎・脳症と②軽症疾患の痙攣重積症・熱性痙攣の2群で比較検討する。髄液中α2Mはα2M Elisaで定量を行い、両群の「有意差」「感度と特異度」をROC曲線で算出し、評価・判定する。 【研究成果】脳炎・脳症(n=15、平均年齢4.0歳)と痙攣重積・熱性痙攣(n=24、平均年齢2.5歳)において髄液中α2M濃度に有意な差が認められた(p=0.016 Mann-Whitney U検定, 脳炎・脳症α2M 5.7±6.5μg/mL, 痙攣重積・脳症α2M 2.6±3.7μg/mL)。また両者の感度と特異度は75.0%、73.3%、Cut Off値は1.76μg/mLであった。一方で両群の血清中におけるα2M濃度は脳炎・脳症(n=11)と痙攣重積・熱性痙攣(n=9)において有意な差は見られなかった(p=0.152 Mann-Whitney U検定, 脳炎・脳症α2M 402±143mg/dL, 痙攣重積・脳症α2M 350±65mg/dL)。これらの結果から髄液中α2Mは脳炎・脳症で有意に上昇し、脳症と痙攣重積症の区別に有用なマーカー候補になると示唆された。
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Research Products
(4 results)