2015 Fiscal Year Annual Research Report
免疫不全患者における血漿中CMV-DXA量測定の臨床的意義に関する研究
Project/Area Number |
15H00642
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
前河 晶子 金沢大学, 附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | CMV感染症 / 造血幹細胞移植 / 血漿中DNA量 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】 サイトメガロウィルス(CMV)感染症は、免疫不全患者において非常に重要な感染症である。現在国内においてはCMV抗原検査によってウィルス量がモニターされており、先制治療および治療効果判定の指標となっている。しかし、現行のPP65抗原免疫染色は手技が煩雑である上に結果の精度管理が難しい。また、白血球減少時には測定出来ず、腸炎や網膜炎では検出率が低く診断や早期治療のための有用性は期待出来ないという欠点がある。一方、PCR技術の応用により, 迅速かつ高感度に臨床材料中のCMV-DNAの検出は可能となっており、欧州ではPCR法によるDNAの定量検査が標準的指標とされている。今回、DNA抽出から測定まで全自動で行う事が出来、WHO標準準拠の標準品が使用されているPCR用試薬を用い、その有用性の検討を行った。 【対象および方法】 2015年5月から12月までに当院において造血幹細胞移植を行った17例について、CMV抗原検査の残余血漿を分離保存し、128検体について血漿中DNA量の測定を行った。CMV抗原の検出はCMV抗原「エルエスアイ」を用いたClO/Cll法で、DNA量の測定はCOBAS AmpliPrep/COBAS TaqMan CMVテストを用いたTaqMan法で行った。 【結果】 17例のうちCMV抗原血症を発症した症例は9例あり、そのうちCMV感染症を発症した症例は4例であった。 いずれの症例においてもCMV抗原とCMV-DNA量は同様の推移を示した。DNAはCMV抗原に先行して検出される例が4例、同時に検出される例が4例確認された。また、抗原血症の発症時期が明確でない例が1例あった。CMV抗原が陰性でCMV-DNAが検出された症例が3例あったがいずれも感度以下と低値であり、発症は見られなかった。CMV抗原が陽性でCMV-DNAが検出されなかった検体は1検体のみであった。 【考察】 全自動PCR試薬を用いた血漿中DNA量の測定は、非常に簡便な操作で高感度な検出が可能であり、CMV抗原検査と同様に、造血幹細胞移植後のCMV感染症の早期診断および臨床経過の把握に有用であると考えられた。
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