2015 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌における低酸素状態による微小環境変化と予後の関連
Project/Area Number |
15H00667
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川村 和弘 大分大学, 歯科口腔外科, 医員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / HIF-1 / 免疫染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : HIFは、低酸素適応応答機構、発生・幹細胞制御、炎症との関係など、低酸素適応応答のみでなく、様々な生理現象の調節に関わっていると共に、腫瘍の低酸素領域において活性化が認められることが報告されている。また癌治療に用いられるrapamycinはVEGFを介した血管新生の阻害効果を持っており、HIF-1αの仲介が判明している。口腔扁平上皮癌の原発巣および転移巣において、HIF-1、VEGF、CD34、Ki-67の免疫染色を行い、それぞれの発現の有無と臨床病理学的データとの関連を検討し、rapamycinを使用した癌治療の可能性について考察した。 研究方法 : 大分大学医学部歯科口腔外科にて口腔扁平上皮癌と診断・切除された手術検体のホルマリン固定・パラフィン包埋切片を使用した。腫瘍部と非腫瘍部が1枚の標本に十分量含まれている検体30例と、その転移リンパ節を対象とした。脱パラフィン・脱キシレン・親水化、内因性ペルオキシダーゼ活性の消去、オートクレーブ処理後、ABC法による免疫染色を行い、HIF-1、VEGF、CD34、Ki-67の発現を確認した。各々の症例に対して分化度、腫瘍の大きさ、浸潤の深さ、脈管侵襲、神経周囲浸潤、壊死、予後との関連を検討した。 研究成果 : 免疫染色はそれぞれ腫瘍部において発現を検討した。Ki-67はlabeling indexを測定した。その他の抗体は腫瘍全体における染色範囲と腫瘍胞巣における染色強度をそれぞれ測定し、4段階、3段階に分け、掛け合わせた数字で判定した。原発巣部、転移巣部それぞれ染色を行い判定したが、臨床病理学的データとの明らかな関係性は認められなかった。今後は症例数を増やして研究を継続していく予定である。また必要であれば染色方法の変更の検討も併せて行う予定である。
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