2015 Fiscal Year Annual Research Report
活動量測定器を用いた患者指導が人工関節置換術後成績に及ぼす効果
Project/Area Number |
15H00683
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 和寛 名古屋大学, 医学部附属病院, 理学療法士
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 身体活動量 / 疼痛 / 人工関節 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の急速な高齢社会の進展に伴い, 慢性的に痛みを呈する変形性関節症の有病率が高まっている。変形性関節症に対する治療には人工関節置換術が広く行われており, 術後成績の向上のためにリハビリテーションの発展が求められている。人工股関節・膝関節置換術後のリハビリテーションでは, 痛みに難渋する症例が少なくないが, 痛みにかかわる精神心理機能との関連については未だ不明な点が多い。本研究の目的は, 活動量測定器を用いた患者指導が, 人工股関節・膝関節置換術後の痛みにかかわる精神心理機能と運動機能に及ぼす効果を明らかにすることである。 当研究代表者所属施設にて, 人工股関節または膝関節置換術と通常理学療法を実施した患者を対照群とし, 同手術と通常理学療法に加えて活動量測定器を用いた患者指導を実施した患者群を実験群とした。活動量の測定には活動量測定器(ライフコーダ)を用い, 手術翌日から14日後まで実施した。患者は活動量測定器から得られた身体活動量を記録し, その結果に基づき理学療法士が患者指導を行った。評価指標は, 術前と術14日後において, 10m最大歩行速度, 下肢筋力, 四肢周囲径, 四肢関節可動域, Pain Catastrophizing Scale (PCS)を測定した。 術前と術14日後において, 実験群と対照群を比較した結果, それぞれの評価指標において両群間に有意な差が認められなかった。人工関節置換術後のリハビリテーションでは, 身体機能に対する介入を行うだけではなく, 痛みにかかわる精神心理機能および身体活動量に対する介入が必要であることが指摘されている。本研究課題の成果は, 痛みを呈する患者に対する効果的で効率的なリハビリテーションの発展へ向けた基礎的資料を提供することができるものと考える。
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