2018 Fiscal Year Annual Research Report
量子最適化計算の拡張定式化による新基軸確立とその古典・量子計算両面での問題解決
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15H01677
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 浩 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (80183010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 茂 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30362833)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Isingモデル / 分配関数 / グラフ枝向き付け / Euler閉路 / トポロジカル量子計算 / 量子アニーリング / 量子エンタングルメント / 分散量子情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の研究においては、研究代表者の今井は研究協力者と取り組んできたIsingモデルの分配関数計算に関するIce問題と6点モデルへと拡張した前年度までの成果をさらに発展させ、Ising分配関数をEuler部分グラフにより計算する方法をBDDを用いた効率的計算法を示した。まず、それを包含する一般形のTutte多項式計算に関する計算量解析を論文にまとめ採択・掲載に至った。そこでは、BDDを用いた場合、台グラフのパス幅に関した特徴づけをしており、さらにIsing分配関数においては、Euler部分グラフ列挙によって計算できることに着目し、簡明で効率的なBDDアルゴリズムを与えた。また、量子計算と関係するホログラフィック計算で、Euler枝向け付けを軸とする性質に着目し、グラフの一般枝向き付けへと拡張し、その計算アルゴリズムを与えている。これにより、量子計算の物理と離散構造のグラフの新たな問題との関係を明らかにし、新たな展望を与えている。量子最適化のための拡張定式化については、2部マッチングを拡張した問題での拡張複雑度の解析成果に関する論文を受理される成果をあげ、さらに上記の問題の拡張定式化について調べている。
分担者・研究協力者とともに、Isingモデルの最小エネルギー状態を求める問題を、量子アニーリングとの比較のため古典メタヒューリスティックスで解くことについても成果をあげた。古典ヒューリスティックスでの最大カット問題に対する代表的方法であるBreakout Local Search法との比較で、解の質に関して古典ヒューリスティックスが勝る場合をを示した。2次元量子回路での合成法の提案・トポロジカル量子計算における回路コンパクション、そして具体的な2次元量子回路実現のためのアーキテクチャに関する成果、そして量子情報でのエンタングルメントと分散量子情報表現に関する成果をあげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡張定式化に関する論文も採択され、それをベースにイジングモデルを軸とした量子計算と古典計算の関係について、新たにグラフの枝向き付けの問題への展開することができており、着実な進展をみせている。イジングモデルの最小エネルギー状態を求める問題についても、量子アニーリングの古典シミュレーショを通して、古典メタヒューリスティクスとの関係を解明し、量子計算と古典計算の両面からの研究を推進できている。
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Strategy for Future Research Activity |
量子計算に関する量子超越性を示す研究との関連を調べ、イジングモデルとも対応する量子グラフ状態に関する研究を研究グループで進める方向を検討する。拡張定式化と量子計算の関係について、それら問題に関しての研究に取り組む。
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Research Products
(40 results)