2016 Fiscal Year Annual Research Report
実時間動力学シミュレーションによる脳外科手術支援システム
Project/Area Number |
15H01707
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近野 敦 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90250688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 悌二 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00217548)
中川 敦寛 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10447162)
辻田 哲平 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, システム工学群, 准教授 (40554473)
小水内 俊介 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (40708004)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 手術シミュレーション / ブレインシフト / 手術支援 / 流体・構造連成解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,脳外科手術中に同時に実時間手術シミュレーションを行うことで,目視や内視鏡で確認することができない脳深部の変形や,現在脳に発生している応力の分布を医師に視覚提示し,脳に損傷を与える危険性を逐次評価することのできる,脳外科手術支援システムを開発することを目的とする.脳外科手術ではブレインシフトと呼ばれる術中の脳変位が問題となっていた.本研究で開発する脳外科手術支援システムは,動力学シミュレーションでブレインシフトを推定し,かつ術中MRIでは不可能な応力分布表示,損傷危険性評価を実時間で行うものである. 平成28年度は,「脳組織損傷モデルの構築」,「情報提示インタフェースの構築」の課題にに取り組んだ.「脳組織損傷モデルの構築」では,ブタの脳組織を用いた引っ張り破断実験を行い,脳組織の破壊挙動を計測した.その実験結果から,脳組織の引っ張り破断では,強い延性がみられることが分かった.従来の破壊・損傷モデルでは延性破壊を精度良く再現することは困難であったため,実験結果で得られた延性破壊挙動を精度良く再現できる脳組織損傷モデルを提案した.「情報提示インタフェースの構築」では,MRIやCT画像などの医用画像列から3次元の脳有限要素モデルを自動生成する手法を開発した.従来は3次元有限要素モデルの作成の一部に手作業が必要で,画像のノイズの処理など多大な時間がかかっていたが,埋め込みと呼ばれる手法で自動化した.埋め込みによる有限要素モデル生成では脳裂などが再現できないことが問題であったが,脳裂を忠実に再現できる手法を開発した.また,脳有限要素モデルを実時間で変形し,さらにその変形時に脳内部に発生する応力を任意の切断面で表示できるインタフェースを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画していた「脳組織損傷モデルの構築」において国際学術雑誌論文1本,国際会議論文1本(査読付)が採択され,この国際会議論文はBest Biomimetics AwardのFinalistに選定された.また,「情報提示インタフェースの構築」の課題においても学術雑誌論文1本,国際会議論文1本(査読付)の成果を得ているなど,大きな進展があった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は最終年度として,これまで開発してきたシステムの検証と評価を行う.当初計画では動物実験での検証を予定していたが,大型動物のMRIデータを取得する設備がなく,逆に人間のデータのほうが入手しやすいため,人間のデータとの比較検証を主とし,動物実験を補助的に行う.具体的には実際の手術における術前,術中,術後の脳MRIデータと比較し,ブレインシフト推定の精度を検証する.また,人間のマネキンモデルに脳モデルを重畳表示し,ナビゲーションインタフェースの検証を行う.
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Research Products
(8 results)