2017 Fiscal Year Annual Research Report
鍾乳石の流体包有物同位体分析による第四紀古気候学の新展開
Project/Area Number |
15H01729
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
植村 立 琉球大学, 理学部, 准教授 (00580143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅海 竜司 東北大学, 理学部, 准教授 (00400242)
芳村 圭 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (50376638)
狩野 彰宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60231263)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気候変動 / 鍾乳石 / 安定同位体 / 流体包有物 / 氷期 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球の気候変動のメカニズムを理解するためには、機器観測が始まる前にさかのぼる長期間のデータが必要である。しかし、日本周辺には精確に年代が決まった長期間の気候変動データが少なく解析を妨げる要因となっている。この点を解決するため、本計画では、鍾乳洞内の鍾乳石(石筍)に閉じ込められた流体包有物の同位体比に注目して研究を行う。本年度は主に、以下の3点について研究を実施した。 (1)流体包有物同位体測定手法の改良: 昨年度までの実験開発により信頼性の高い測定法を開発した。特に前処理における乾燥処理の重要性が明らかになったので、新たに試料乾燥用の真空装置を導入した。分光式同位体比質量分析計が断続的に故障する状況は続いているが、その都度修理を行うことで対応している。現手法は実用的なレベルではあるが、さらに労力を削減することが課題である。 (2)洞窟・降水観測と石筍試料の採取:玉泉洞(沖縄県)で滴下水及び石筍の採取、温度、二酸化炭素濃度の観測を実施した。また南大東島で同様の観測に加えて放射性炭素も含めた観測を名古屋大学と共同で実施した。 (3)流体包有物の同位体比測定による気候変動の復元 星野洞(沖縄県)、Lekiraka cave(東ティモール)石筍を中心に流体包有物の同位体比測定を重点的に行った。星野洞の試料からは、流体包有物の同位体比データをほぼ計画通りに得ることができた。その他の試料は追加測定が必要なものの、主要なデータを取得することができた。これらのデータは、同位体モデルも組み合わせて解析を進める計画である。本年度は、降水同位体モデルとの比較が容易なアイスコアの降水同位体データとの比較を行って出版した。同様の手法を鍾乳石の結果にも適用して解析を進める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分光式同位体比分析計の断続的な故障が続いているものの、予定していた観測や試料測定等は、おおむね順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな研究計画の変更はない。分析データの蓄積は進んでおり、やや遅れている成果の公表を国際学会や国際誌を通じて推進する。そのため、本年度の測定試料数を減らして、データ解析と手法改良に重点を置いて研究を推進する。
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Research Products
(12 results)