2016 Fiscal Year Annual Research Report
データ同化手法を用いた身体障害者の共創的衣服作製に関する研究
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15H01765
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
蔵田 武志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 研究グループ長 (20356934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上岡 玲子 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (30401318)
小野 栄一 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所, 研究所長 (80356732)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 衣環境 / 身体障害者 / データ同化 |
Outline of Annual Research Achievements |
モバイルRGB-Dカメラを用いた非接触体形計測技術及びそれを用いたMR試着システムについては、標準人体モデル(Dhaiba)を計測データに基づいて変形させることによって、姿勢変化による体型変形時のモデル化やMR試着時の画質向上を行った。eテキスタイル装具を用いた接触計測については、主に下半身の運動把握を目的として伸縮、圧力のそれぞれに関する可視化システムを試作した。また特に圧力について主に腹部での接触圧変化を長時間記録できるモバイルシステムを構築し、取得されたセンサーデータから利用者の内的状態の推定が可能であるか検討した。ダミーロボットが上着を着て車いすを漕ぐ動作を行うことを想定し、人が車いすを漕ぐ動作のデータを収集した。ダミーロボットの腕や肩にセンサーを装着し、腕を動かした際にどのようなセンサー信号が取れるか、実験的に調べた。 ダミーロボットと人の両方に装着可能なセンサーについて検討し試作の準備を開始した。 モバイルRGB-Dカメラを用いた身体計測及びMR試着機能を持つアプリのポータルサイト配布のための倫理審査準備を進め、データ収集環境整備を進めた。衣服のリフォームをいくつか試み、国リハコレクション2016を開催し、その開催後に「国リハコレクション2016」の紹介冊子を作製し、試作展示したリフォーム例や出展機関の紹介した。JIAM 2016へも出展した。JIAMではインクルーシブ出展の形態をとり、当事者とのコミュニティ形成を進めた。事例データベースの拡充も進めた。ただし、型紙CADデータ等のオープンデータ化、アプリの配布とそれを用いた実証は来年度の課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RGB-Dカメラとモーションセンサを搭載したモバイル端末にインストールするMR試着アプリの配布には、引き続き倫理面やセキュリティ面の配慮が必要である。そのため特に実証は慎重に進める必要があり、それが原因で進捗が遅れている部分もあるが、本質的にはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
機能性、意匠性、及び経済性を同時実現する衣服の設計を支援するために、H29年度は以下について取り組む。まず、MR試着システムについては、RGB-Dカメラとモーションセンサを搭載したモバイル端末を用いた非接触体形計測と接触計測、身体モデル化、衣服モデル化の全体統合を行う。ポータルサイトで配布されるMR試着アプリの各機能の実証・改良を行うと共に、モニターの計測データを収集して身体モデルを精緻化する。eテキスタイル装具を用いた接触計測については、日常生活での着衣の快適性評価を、昨年開発したモバイル可視化システムを用いて感情表出行動を抽出し定量化することで実現する。具体的にはeテキスタイルの圧力センサによるロギングシステムのデータパターンから肯定的感情表出行動を機械学習より抽出する。これにより、MR試着システムでのバーチャル試着に基づいて実際に作製した衣服の評価を行う。人とロボットダミーの双方に装着可能な力センサースーツを作成し、ロボットダミーと人で、同様な動作を行った際の再現性、類似性について比較検討する。肩、肘の曲げ伸ばしの基本的な動作、車いす漕ぎ動作、衣服の着脱動作の一部(手を使わない操作)などを障害の程度別に検討し、それらの動作中に上記センサやロボットダミーより得られる定量的センサ情報から、体形、姿勢や動作の観点から車いす漕ぎ動作、衣服の着脱などに向いた衣服の工夫や評価法について検討する。 国リハコレクション等の展示イベントへの出展を積極的に行い、研究成果の普及促進や研究課題の根底にある社会的課題について周知していく。このような実世界での活動や実コミュニケーションと、ポータルサイトでのウェブ上の活動やコミュニケーション、配布アプリとを連携させる。これにより形成されるコミュニティとの共創的活動により、事例データベースの拡充・体系化や、衣服データ等のオープンデータ化を進める。
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Remarks |
『障害者衣服作製事例』事例について、約240件の事例情報、約260件の素材情報、計約500件の情報を登録し、検索可能な形で公開している。
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Research Products
(6 results)