2015 Fiscal Year Annual Research Report
公共空間の安全性確保を目指した可聴型音響設計システムの構築
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15H01790
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 史明 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50286150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤江 真也 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (00367062)
木幡 稔 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (30186720)
大川 茂樹 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40306395)
世木 秀明 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (60226636)
須田 宇宙 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (60296324)
飯田 一博 千葉工業大学, 工学部, 教授 (60458627)
矢野 博夫 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (70114692)
柳川 博文 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (70296309)
山崎 治 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (90337709)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 音響情報 / 音環境 / 公共空間 / 明瞭性 / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
S(3次元シミュレータ):高音域まで方向成分が捉えられる6ch.方式による収音システムを構築し方向定位精度を確認した。また、合成音像音場における明瞭性判断の可否について検討を行い、6ch.再生音場の利用可能性を示した。さらに、防災放送の入射方向が単語了解度に顕著な影響を及ぼすことを音響心理実験によって明らかにし、その結果をバイノーラル方式3次元シミュレータに反映した。 1(音環境):一般室での簡易的な6ch.再生を目指して簡易吸音処理・小型スピーカ再生による検討を行った。また屋外音環境の実測調査として、音圧レベル、周波数特性、暗騒音等の解析を行った。 2(電気音響システム):拡声スピーカの超指向性化に関してホーンスピーカアレイの指向特性の検討に着手した。また、スピーカの指向性を鋭くすると環境によっては顕著な単一エコーが発生する可能性がある。そこで単一エコーがある中でサイン音を目隠しで聴取したときの音源方向判断について調べ基礎的知見を得た。 3(音声合成):帯域強調の効果に関する検討を行ったところ残響環境下でのアナウンス文の理解度に対する帯域強調の効果が見いだされた。また、合成音声の明瞭化のための音声合成器の制御方法についての検討として、制御に用いるオーバーラップマスキングの影響を定量化する客観評価量(スペクトル歪)を導入した結果これまでの客観評価量よりも高い相関が得られた。 4(サイン音):音源方向判断に影響する音像の幅について音源信号のスペクトルおよび持続時間との関係を調べ、音像の幅を鋭くする条件を見いだした。 5(聴覚と視覚の相互作用):3DCGによる仮想的な迷路上で合成音声による方向指示を行い、定位感の付与が移動の円滑さに与える影響を検討した結果、定位感の有無自体の影響は確認されなかったが、音声による指示のタイミングが移動の円滑さに影響していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、3次元音環境シミュレータ(S)を核として5つの要素研究(1:音環境、2:電気音響システム、3:音声合成、4:サイン音、5:聴覚と視覚の相互作用)で構成され、様々な空間を対象として音響情報伝達システムの性能向上を目的として取り組んでいるもので、平成27年度の研究実績について前述したとおり、5つの全ての要素研究についてはそれぞれ着実に進展している。またそれらの結果がシミュレータへフィードバックされている要素研究もあり、特段の問題も現段階では見当たらない。 研究成果(発表数)の点についてはいささか少ない印象を反省点として持っているが、研究の1年目でもあること、またすでに得られた結果を精査することによって発表に至る可能性も見えることから、研究の進展としては問題ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
S(3次元シミュレータ):シミュレータの更なる精度向上を目指す。バイノーラル方式では、これまでの研究で明らかにした人が音の前後上下方向知覚の手掛かりとしている頭部伝達関数の4つの特徴量の絞り込みの検討を行い、さらに耳介形状がこれらの頭部伝達関数の特徴量に与える影響について分析する。これらの結果をバイノーラル方式3次元シミュレータにフィードバックする。 1(音環境):他の要素研究の結果を取り入れつつ平成27年度の検討を継続推進する。さらに空間の音響処理(拡散・吸音など)の検討、音響実験室以外の一般室でも使用可能な可搬型3次元音環境シミュレータの構築などを進める。 2(電気音響システム):超指向性スピーカの開発を進め、スピーカの設置方法を含めた実空間への適用を検討する。 3(音声合成):TTSアナウンスのさらなる明瞭性の改善策として、ディジタルフィルタリングによる処理手法とTTSパラメータの適応制御に関する検討を行う。公共空間の音環境は、平常時と非常時など状況によって大きく変化する。そこで、残響や暗騒音の影響を反映した客観評価量について検討し、その結果を用いてディジタルフィルタやTTSパラメータを適応的に制御して音声明瞭度を向上させる方式を開発する。 4(サイン音):残響の影響については、残響時間とその周波数特性、卓越したエコーのレベルや方向などをパラメータとして聴感的に評価する。また、避難誘導音の音像の質について、信号のスペクトル、持続時間など物理特性がどのように影響するか明らかにする。誘導音の音源方向判断時間についても実験的に検討する。 5(聴覚と視覚の相互作用):3次元音環境シミュレータを用いて、より現実の公共空間に近い音響条件下について実験を行う。すなわち、空間の残響や暗騒音によって劣化した音響情報の明瞭性が視覚情報を加えることによってどの程度改善されるかについて検討する。
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Research Products
(5 results)