2016 Fiscal Year Annual Research Report
無人機を用いた落下貫入型火山活動観測プローブの開発および西ノ島新島での実証観測
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15H01793
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
田中 智 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (30249932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 英記 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 教授 (10166259)
白石 浩章 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (10353418)
水野 貴秀 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50270442)
尾崎 正伸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (90300699)
及川 純 東京大学, 地震研究所, 助教 (40262084)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 防災 / ペネトレータ / 無人航空機 / 地震観測 / 磁場観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究は地球物理学的な観測(地震、磁場など)装置を遠隔地から無人航空機で搬送し、目標地点に投下設置した後、数ヶ月以上観測することができるプローブ(ペネトレータ)の開発と実際のフィールドに設定してその妥当性を検証し、さらに、人が設置不可能な場所に観測装置を設置して観測を行い科学的成果を創出することが目的である。 開発内容は大きく2つに分かれ、「投下型観測プローブの開発」と「無人機からの観測機投下システムの開発」である。 「投下型観測プローブの開発」に関しては宇宙科学研究所が1980年代から開発を行ってきた月ペネトレータとよばれる、探査機から投下する観測プローブの開発成果に基づいている。技術上の最重要ポイントは、プローブが地面に設置するとき(秒速90m程度)に受ける3000G程度の衝撃に機能、性能上耐えることができるシステムを開発することである。昨年度に行った火山観測にむけた搭載機とその仕様検討と各センサーの個別の性能試験の実績を踏まえ、地震計、磁力計、空振計、GPSの各センサーおよびデータ処理システム、電源装置を実機相当のプローブに搭載して投下試験を実施した。精密な性能評価を行い、十分実用に資することが可能であることを確認し、実際のフィールド用の開発準備を終了した。 「無人機からの観測機投下システムの開発」に関しては、基本的なシステムは昨年度の1/2スケールモデルでの開発実績があり、この結果を踏まえ実機サイズ(直径90mm、長さ900mm、重量9kg程度)を搭載可能なランチャーを開発した。そして北海道の鹿部飛行場内で合計6回の投下試験を実施した。予定通りの投下シーケンスを行うことに成功し、さらに目標精度である半径10m程度の位置にプローブを設置するこが可能であることを確認した。以上すべて良好な結果を得ることができ、実地の火山にむけて投下設置するための基礎開発を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「観測プローブの開発」については平成28年度に計画していた観測機器を統合した開発を完了した。また、「観測機投下システムの開発」についても平成27年度に計画した実機サイズの投下試験まで予定通り完了した。 27年度に計画をしていた、観測機の搭載センサーやシステムのフレキシビリティーを上げるために、センサーや電源が取り替え可能な「モジュール化」を予定していたが予算の都合上、開発を見送ったが、それぞれのブロック(センサーブロックや電源ブロック、通信ブロックなど)を個別に製造しそれらを個々に搭載する方式でも十分衝撃に耐えることがわかったため、この方式で当初考えていた目的を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「観測プローブ」を実地火山用に製造し、本年度上半期までに実地試験を遂行する。その後、地震、磁場などの観測を実施し、科学データを取得する。ただし、当初計画していた西之島新島への投下試験は、火山の活動状況や世界自然遺産であることを配慮した上で、変更する可能性がある。代替として検討を進めているのは鹿児島県十島村にある諏訪之瀬島である。本島では観測予定時期に十分な活動が見込まれていること、火口近傍までは立ち入りが可能なので、プローブの投下状況を目視確認できること、観測データによって十分な科学成果も期待できることが理由である。
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Research Products
(3 results)