2017 Fiscal Year Annual Research Report
Risk assessment of large scale landslide dams and disaster mitigation
Project/Area Number |
15H01797
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
王 功輝 京都大学, 防災研究所, 准教授 (50372553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 研究員 (00572976)
釜井 俊孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (10277379)
古谷 元 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80378926)
若井 明彦 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (90292622)
陳 光斉 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50293882)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 土砂災害 / 天然ダム / 危険度評価 / 内部構造 / 災害軽減対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度実施された研究内容が以下に纏められる. 1) 2008年中国四川大地震時に形成された唐家山および東河口天然ダムの堤体に対して,高密度電気探査を実施し,ダム堤体の比抵抗および今まで得られたS波速度構造を併用し,ダム堤体の内部構造を解析した.また,地すべり土塊の運動過程と内部構造との関係を分析した.これらの結果を纏めた論文は現在投稿中である. 2) 50gの遠心力場において,異なる力学特性を持つ土試料で作成されたダム堤体に対して,異なる給水流量下での天然ダム決壊実験を実施した.その結果,透水係数の大きい土砂により形成された天然ダムにおいては,ダム湖の水位の上昇に伴って,ダム堤体内において浸透流が発生し,堤体の末端から,パイピング浸食およびそれに伴う崩落現象がゆっくりと繰り返して発生した.崩壊した土砂は短い距離を移動した後に,堆積した.それによって,斜面の末端から緩い斜面が形成され,斜面の安定性を上昇させたと考えられる.最後には,越流が発生し,ダム堤体が急速に浸食され,決壊した.一方,細粒分の多い試料で作成したダム堤体において,浸透流によってダム堤体の下流斜面において急速な後退性崩壊が発生した.場合によって移動した土砂が高い水圧の発生によって流動化した現象も観測された.また,越流が発生した場合には,いずれの実験においては,ダム堤体が急速に浸食され,決壊に至ることがわかった. 3) 2004年に徳島県那賀町阿津江地区で発生した大規模地すべり地にて,高感度地震計を設置して稠密な地震観測を行い,地震時の斜面安定特性および大規模天然ダムの形成危険度を調査した.これにより有益な結果が得られた. 4) 3D DDA-SPH固体と流体の連成手法を用いた天然ダム形成過程に関する数値シミュレーション技術を開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 開発した剛性土槽および制御装置が故障なく,遠心場における実験は順調に実施されている. 2.中国の共同研究者による強力な協力で,いくつかの大規模天然ダム堤体における高密度電気探査が実施できた.これらにより貴重なデータが得られた. 3.3D DDA-SPH固体と流体の連成手法を用いた天然ダムの数値シミュレーション技術の開発が順調で,事例解析などを通じて,提案手法の有効性も検証されている. 4.ニュージーランドの共同研究者が,Kaikoura地震時に形成された天然ダムに関する長期+詳細的な調査経費が得られて,これらの天然ダムに関する詳細な調査情報が得られることとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.ニュージーランドの共同研究者と連携して,Kaikoura地震時に形成された天然ダムの安定性を調べる. 2.遠心力場でのダム決壊実験を継続し,異なる内部構造や力学特性をもつダム堤体の決壊過程を調べて,解明する.また,撥水剤の注入によるダム堤体における越流浸食・急激決壊過程を回避する工法を調査し,開発する. 3.2008年中国四川大地震時に地すべり発生地域における大規模天然ダム決壊実験を実施し,遠心場において得られた結果と対比し,天然ダム堤体の決壊危険度予測法を開発する.
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Research Products
(21 results)