2015 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋機能とサルコペニアに関連する消化管ミクロビオームの基盤研究
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15H01827
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永富 良一 東北大学, 医工学研究科, 教授 (20208028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 明人 東北大学, 東北メディカルメガバンク機構, 教授 (00241646)
長崎 正朗 東北大学, 東北メディカルメガバンク機構, 教授 (90396862)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミクロビオーム / サルコペニア / 唾液 / 便 / 骨格筋 / 歯ブラシ |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 平成27年度はまず唾液や糞便の保管条件およびDNA抽出手法についての比較検討を行った。引き続き最適と判断された手法により平成27年7月から平成28年3月の間に協同組合仙台卸商センター組合員の定期職場健診時に同意が得られた263名より糞便、歯垢・唾液サンプルを得るとともに、握力測定、アンケート調査から得られた社会人口学的特性、生活習慣、過敏性腸症候群、抑うつ傾向と健康状態、および健康診断項目の生活習慣病(肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症)に関する情報を収集した。糞便サンプルはトイレットペーパーに付着した糞便を採取する「トイレットペーパー-スワブ採取法」を、歯垢・唾液サンプルは歯磨き後の歯ブラシを生理食塩水に浸し、それを検体とする「ハブラシ-生理食塩水懸濁法」による採取手法を採用した。得られた検体はただちに-80度で保存を行った。また口腔検体の解析技術の確立を行った。DNA抽出、マーカー遺伝子配列(16S rRNA V4領域部分配列)のPCR増幅、イルミナ社MiSeq ピーアールあっとフォームによるDNA配列決定のワークフローを確立した。得られた情報のドライ部分の解析パイプラインを確立した。解析パイプラインではHOMD(human oral microbiome database)の参照配列を利用し、必要なデータ処理スクリプトの開発と実装を行った。確立された解析方法にしたがって収集したサンプルの分析を開始した。また糞便からのDNA抽出方法の文献的検討、また市販キットのトライアル製品を利用したワークフローの検討を行った。糞便からのDNA抽出を行う環境の整備を行った。 2) ミクロビオームの有無が骨格筋再生のプロセスに影響する可能性を検討するための、損傷骨格筋の修復における組織学的な指標を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りに進行している。ただし、糞便、口腔検体採取に関しては検体採取の同意率が20%を切っているため、予定のサンプル数が得られていない。次年度に引き続き研究への協力者を増やすための方策を講じる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続きサンプルの収集と前年度分検体の解析を行う。また昨年度分のものを含めて糞便のメタゲノム解析を実施する。同意率40%以上を目指すとともに、昨年度同意を得た参加者の2年目の検体採取を目指す。横断研究として昨年度分とあわせて800名程度の同意取得を目指す。評価項目は昨年同様、糞便、歯垢、唾液検体、握力、生活習慣、健康状態、抑うつ傾向、および生活習慣病(肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症)などである。さらに糞便検体のメタゲノム解析に関して、DNA抽出法、シリカメンブレンカラム法、フェノール・クロロホルム法、自動ロボットを用いる方法(プロメガ社Maxwell使用)等の比較検討を行い、ウェット部分の解析技術の確立を行う。加えて、必要なスクリプトの作成、及び、適切な参照配列データベースについて検討を行うことで、ドライ部分の解析パイプライン構築を行う。解析して得られた糞便・口腔の細菌叢の比較を行う。2回に渡る参加者の検体により、細菌叢の安定性、再現性を検討する。握力低下をアウトカムとした縦断分析(複数年度参加者)と低筋力を指標とする横断分析、さらに過敏性腸症候群や肥満、メタボリックシンドロームなどの二次アウトカムとの関連分析を行い、生活習慣との関連も分析する。微生物や微生物が産生する物質レベルでのサロゲートマーカーの探索と絞り込みへと展開すも目指す。これらの情報は、mysql等を用いたデータベースを様々な解析に耐えうるようにすると共に、公開することを検討する。 動物モデルの検討では異なる抗菌スペクトルを持つ抗生物質を投与し、筋損傷からの回復過程に違いがみられるかどうかを検討する。抗生剤投与後の糞便のメタゲノム解析を行い、ミクロビオームバランスの変化パターンを特定する。
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Research Products
(1 results)