2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Study on Formation of the Japanese Textile Collection and the Establishment of its Values in the Japanese Art History
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15H01873
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
小山 弓弦葉 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (10356272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 淑江 共立女子大学, 家政学部, 教授 (70636456)
澤田 和人 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (80353374)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 美術史 / 野村正治郎 / 山中商会 / アメリカ / 日本染織 / ジャポニスム / 袈裟 / 日本近代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本国内外の機関や個人コレクターが所蔵する日本染織コレクション蒐集の経緯や来歴、構成内容を網羅的に調査し、近代以前は蒐集されることがなかった日本染織が古美術品としての価値観を形成していく過程について考察した。染織史研究者の間では研究対象とならなかった江戸時代以降の袈裟類・裂類を中心に各所蔵先において染織コレクションの全容が分かる調査を行い、近代における日本内外の日本染織の動向について詳細な調査を行なってきた。その結果、日本における古美術商の中でも、京都の野村正治郎、大阪の山中商会が主となって、大正期から昭和初期にかけて、袈裟、小袖、袈裟類といった江戸時代を中心とする日本染織を日本国内だけではなく、海外、特にアメリカ国内に集中的に輸出していたことが判明した。ヨーロッパよりも遅れて始まったアメリカ国内におけるジャポニスムの動向に乗じて、アメリカにおける古日本染織が室内装飾品としてコレクターの蒐集対象となっていたことが調査によって明らかとなった。また、アメリカにおけるジャポニスムのコレクターやその志向、流行した時期などが、古日本染織の動向を知ることによって明らかとなった。その調査の詳細な調査データについては、調査を完了したコレクション別にリスト化し、調査研究報告書として編集し出版した。また、調査研究の成果については、本調査研究に参加した研究代表者、研究分担者、研究協力者8名による論文にまとめ、調査研究報告書に掲載した。本調査研究によって、美術史の1分野として位置付けられる染織文化史研究が確立される契機となった、大正期から昭和初期の国内外における古日本染織の価値観の形成過程が解明された。現状においては、日本染織の価値が理解されないままに離散する危機のある日本およびアメリカのコレクションに、その経緯や価値に関する歴史的・文化的な意味付けがなされたことは極めて有意義である。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)