2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳はどのように文法を生み出すのか―東アジア言語比較認知神経科学からの探求―
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15H01881
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
酒井 弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50274030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬塚 れい子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (00392126)
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (60255601)
広瀬 友紀 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50322095)
小野 創 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90510561)
星野 徳子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70609841)
尾島 司郎 滋賀大学, 教育学部, 講師 (40404959)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知科学 / 言語学 / 実験系心理学 / 脳・神経 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題の中心である言語学習の計算モデルを構築して文法処理の脳機能を探る研究について,ニューヨーク大学 及びロンドン大学の研究者と連携し,新奇動詞を使用した動詞活用形産出実験を実施した.この研究の成果は国際学会において発表が決定し,学術誌への論文投稿も準備が進んでいる.一方,文法処理の脳機能計測研究では,カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者と共同で因果関係処理の事象関連電位計測実験を実施して成果を挙げたが,数量詞処理の事象関連電位計測実験は実施が遅れ,コーパスの分析による刺激の選定と実験デザインの決定,計測システムの整備と実験刺激の作成を行った.次に音韻処理の脳機能に関する共同研究をデラウェア大学の研究者と開始し,日本語母語話者によるVOT知覚の事象関連電位計測実験を実施して結果を分析中である.また,語彙学習を対象として,中日バイリンガル話者による語彙認知の事象関連電位計測実験実施し,研究成果を国際学会(Mental Architecture for Processing and Learning of Language 2016)において発表した.マドリッド自治大学の研究者と共同でスペイン語,日本語,スペイン語を母語とする日本語学習者の関係節産出に関する視線計測研究を実施し,成果をまとめて学術誌への投稿を準備中である.以上を総合して,文法(言語における規則性)がどのように学習され,脳における言語処理に反映されるのかを探る研究を進展させることができた.このように計画通り,もしくは計画以上に進展した研究と,やや実施が遅れている研究が存在するが,全体として十分な研究成果が得られたと考えられる。国際共同研究が当初の予想を超えて進展したことも特筆される成果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた言語処理の脳機能計測実験のうち,数量詞処理の事象関連電位計測実験の実施が遅れたため,予算の繰り越しを行った.一方で,音韻処理,因果推論処理等の事象関連電位計測実験を実施して当初の予想以上の成果を上げたため,総合的に判断して順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って,数量詞処理の事象関連電位計測実験を実施するとともに,すでに成果が出ている音韻処理実験,因果推論実験,さらに新たに開始した動詞活用処理実験の成果を国際学会で発表し,学術誌に投稿する準備を進める計画である。
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Research Products
(8 results)