2015 Fiscal Year Annual Research Report
多層的復興モデルに基づく巨大地震災害の国際比較研究
Project/Area Number |
15H01905
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 誠 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30222087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 重好 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50155131)
室井 研二 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20310013)
黒田 由彦 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30170137)
黒田 達朗 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (00183319)
伊賀 聖屋 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70547075)
島田 弦 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80410851)
鷺谷 威 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (50362299)
木股 文昭 公益財団法人地震予知総合研究振興会, 東濃地震科学研究所, 副首席主任研究員 (10089849)
松多 信尚 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (40578697)
大矢根 淳 専修大学, 人間科学部, 教授 (80281319)
横田 尚俊 山口大学, 人文学部, 教授 (10240194)
木村 玲欧 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (00362301)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 巨大地震災害 / 災害復興 / コミュニティ / 防災制度 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、既存研究の理論的・概念的整理によって本研究の枠組みを構築し、調査デザインを明確化するとともに、研究会や研究打合せを通して研究分担者・協力研究者間で共有した。とりわけ、巨大災害の経験からプリペアドネスの過程を、災害対処メカニズムが一般社会システムへ組み込まれたものとして捉える視点から多層的復興モデルを精緻化し、研究対象とする巨大地震災害被災地およびその他の災害被災地における現地調査によって個人・コミュニティ・政府レベルでの被災経験と、その公的・非公的制度への埋込度合いを調査した。その結果、被災後の各国における公的防災制度の再編がコミュニティの非公的制度と相互に関連すること、それらが個人の被災経験と必ずしも対応しないこと、そうした個人ないし制度への経験の埋込度合いが各国の政治社会構造によって異なるとともに、ハザードのタイプ(地盤型か津波型か)や規模、その科学的評価・予測の活用方法と一般社会での定着度、被災前のコミュニティの社会構造と密接にかかわることを仮説的に見出し、本研究の課題と枠組みの理論的位置づけを明確化した。 次に、アチェにおいてコミュニティリーダーを対象とする質問紙調査を行い、被災状況や住宅・集落や生計復興に関する統一的・客観的な量的データを取得するとともに、予察的な分析を行し、現地セミナーにおいて速報として報告した。また、スマトラ地震と東北日本太平洋沖地震との緊急対応上の差異を分析するとともに、ハザードにかかわる理科学的な調査・観測、各国の防災制度にかかわる文献・現地調査、コミュニティの社会・経済構造にかかわる社会調査を継続・蓄積した。 名古屋大学において国際ワークショップを開催し、各国防災制度や被災後の変化について議論・共有を図るとともに、日本の東日本大震災以降の新しい防災の考え方に関する研究会を公開で行い、その記録を中間報告書としてを刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今次の重点目標は、既存研究の理論的・概念的整理と予察的現地調査によって本研究の枠組みを構築し、調査デザインを明確化するとともに、研究分担者・協力研究者間で共有することであり、とりわけ、国際ワークショップの開催によって予備調査の結果を持ち寄って議論・共有することができた。 ただし、アチェにおける量的データ所得については、それらの議論の結果、事前の想定と異なることが判明し、具体的な調査方法の再検討と微修正を行う必要が生じた。そのため研究経費の繰り越しを行ったが、最終的には当初計画の通り十分なデータを得ることができた。また、当初予定していた四川における量的データの取得は、中国協力研究者側の事情により、共通の質問紙を用いながら中国側が主体的に行い、当研究プロジェクトは側方支援することにした。以上のように、実態調査を伴う国際共同研究では不測の事態にフレキシブルに対応する研究体制が不可欠であり、その意味においても十分に対応できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究枠組みのフィードバック、重要概念の理論的な詰め、各国防災制度の理論的整理、インドネシア他地域ならびに日本の東北地方における量的データの取得と解析、各国コミュニティにおける被災経験とその非公的制度への埋込度合いに関する質的データの取得に、特に重点を置く。今次までの中間成果を、国際会議(ないし特別セッション)を通じて公表するとともに、日本語および英語の中間報告書として刊行する。
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Research Products
(23 results)