2019 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Research on Relationships between Cultural Heritage and Communal Identity in Africa
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15H01910
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
吉田 憲司 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 館長 (10192808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
慶田 勝彦 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (10195620)
飯田 卓 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 教授 (30332191)
和崎 春日 中部大学, 国際関係学部, 客員教授 (40230940)
亀井 哲也 中京大学, 現代社会学部, 教授 (60468238)
Sacko Oussouby 京都精華大学, 人文学部, 教授 (70340510)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 文化遺産 / アイデンティティ / アフリカ / 人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の吉田憲司は、ザンビアのチェワ社会において仮面結社ニャウの活動により国境を超えた民族全体のアイデンティティが醸成されている具体相を明らかにした。また隣接するンゴニ社会の「ンスィンゴ・コミュニティ・ミュージアム」の設立の経緯を検証し、集団のアイデンティティ形成におけるミュージアムの役割を明らかにして、その成果を国際博物館会議世界大会ICOM KYOTO 2019の「博物館とコミュニティ開発」セッションにて報告した。また、コロナによる渡航制限中、自著『宗教の始原を求めて』の翻訳を進め、宗教運動が新たな集団のアイデンティティを形成していく軌跡を追跡した研究成果を英文で刊行する準備を終えた。 研究分担者の飯田卓は、マダガスカル漁撈民ヴェズ社会における技術や知識を文化遺産として捉え、その習得や共有により集団のアイデンティティが形成される様を論文で発表した。慶田勝彦は、アメリカ・カナダ人類学会合同の国際学会で、ケニア海岸地方ミジケンダの祖霊木彫Vigangoの盗難と米国の博物館からの返還運動について、米国のNAGPRAに基づく文化財返還の観点からの人類学的考察を発表した。ウスビ・サコはマリに赴き現地調査を実施して、文化遺産の保存と政策の関わりを明らかにした。和崎春日は編著書を出版し、カメルーンなど世界各地の文化的遺産の生成・維持を、移動を含む動態の中で捉える「関係論的人類学」を論じた。亀井哲也は南アフリカのンデベレの成女儀礼が少女個人に重要なだけでなく、集団として知識・技術や価値観を継承しその帰属意識を維持するのに極めて重要であることを明らかにした。 以上、この5年間の研究で、アフリカ各地の文化遺産の継承の状況を把握し、有形・無形の遺産の集団のアイデンティティ形成における核心的意義を明らかにするとともに、それが個々人の意識の在り方に及ぼす影響についても解き明かすことができた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
<展示>吉田憲司 文部科学省エントランス企画展示「武器をアートに―アフリカ・モザンビークにおける平和構築」2020年1月7日~2月10日/吉田憲司 トークイベント「武器をアートに―アフリカ・モザンビークにおける平和構築の営み」2020年1月20日 <その他>吉田憲司「仮面の来訪者」『ベストエッセイ2019』pp.154-156光村図書出版株式会社 2019年 総ページ数344ページ
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Research Products
(24 results)