2016 Fiscal Year Annual Research Report
女性に対する暴力の実態把握と科学的妥当性・信頼性の高い被害者調査の創出
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15H01922
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
津島 昌弘 龍谷大学, 社会学部, 教授 (60330023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜井 浩一 龍谷大学, 法学部, 教授 (60373106)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 女性に対する暴力 / 犯罪被害調査 / 調査の妥当性・信頼性 / ドメスティック・バイオレンス / セクシャル・ハラスメント / ストーカー行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず本調査(訪問面接による大規模標本調査)の内容及び実施方法について確定した。そして、昨年度から継続して行っていた調査会社への聞き取りをふまえて、委託調査会社を選定し(4月)、契約を結んだ(7月)。 調査の準備が整った時点で、研究代表者・分担者が所属する大学の調査倫理委員会に調査の実施申請を提出し、承認を得た(9月)。調査は近親者からの被害体験などセンシティブな質問を尋ねることになる。調査をスムーズに遂行するため、調査に先立ち、面接調査員を対象とした1日の研修プログラムを実施した(9月)。そこでは、EU調査で使用された調査員マニュアル(日本語訳)を調査員に配布した。 本調査は、予算面から、近畿圏に限定して、2期(1期:10月1日~23日;2期:10月29日~11月27日)に分けて実施した。調査対象者は近畿圏在住の18歳から74歳の女性2,448人。対象者の抽出は、選挙人名簿及び住民基本台帳を標本抽出枠とし、層化2段無作為抽出によって行った。実査は、調査員が調査対象の自宅を訪問し、タブレットPCを用いて調査員が回答を記録する、といったやり方(CAPI)で行われた。回収票は741票、回収率は30.3%であった。 12月末に、調査会社から、個票データを含むデータ一式を受け取った。その後、分析に着手した。本調査の概要及び分析結果の要旨は、3月に2016年度犯罪学セミナー「犯罪の実態や効果的な対策に迫る犯罪学とは ~女性に対する暴力被害調査を題材に~」で報告した。 本年度中に研究会を2回実施した(7月と3月)。3月の研究会では、分析・報告書等の作業分担及び次年度の予定について話し合った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本調査の実施、データの受け取りまでは予定通りの進捗であった。しかし、分析(EUの結果との比較)に際しては、合成変数の作成などデータに加工が必要であることが判明し、目下作業中である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、分析結果を受けて、国内外の学会において成果報告を行うとともに、最終的に報告書を作成する。学会報告は、個人の自由報告に加えて、本研究をテーマセッションとして企画し、そこで複数の報告を行うことを考えている。 10月には、第37回日本犯罪社会学会大会に合わせて、女性への暴力に関する被害調査をテーマに国際シンポジウムを開催する。そこでは、Adrian Raine氏(ペンシルベニア大学)、Sami Nevala氏(FRAのEU調査の責任者)を招いて、暴力の根源、調査結果の国際比較、政策への応用、国際協力のあり方などについて議論する(両氏には承諾済)。 調査・研究の全行程が終了した時点で、公益性の見地から、(個人情報の取り扱いに十分配慮しながら)個票データの開示を行い、学術目的での二次利用・分析の促進に努める。
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