2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H01933
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
梅森 直之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80213502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 善明 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00163874)
田中 ひかる 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00272774)
土屋 礼子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00275504)
小林 聡明 神奈川大学, 付置研究所, 研究員 (00514499)
鶴見 太郎 埼玉大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00735623)
加藤 哲郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 客員教授 (30115547)
李 成市 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30242374)
毛里 和子 早稲田大学, 政治経済学術院, 名誉教授 (40200323)
山田 満 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50279303)
若林 正丈 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60114716)
篠田 徹 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (60196392)
齋藤 純一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60205648)
浅野 豊美 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60308244)
最上 敏樹 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70138155)
土佐 弘之 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70180148)
山崎 眞次 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70200657)
八尾 祥平 早稲田大学, 政治経済学術院, 特別研究員 (90630731)
鈴木 恵美 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 主任研究員 (00535437)
野口 真広 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, 次席研究員 (30386560)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歴史認識 / 歴史和解 / 移行期正義 / 民主化 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、2015年4月に、メーリングリストを開設し、実質的な共同研究体制を確立した。また全体会議を2回、国際的なシンポジウムを6回開催し、海外の研究者とのネットワークの構築を実現した。さらに、移行期正義をめぐる論文のデータベース化も大きく進展し、歴史和解という問題をめぐる地域ごとの特殊性が明らかにする端緒についた。こうした研究活動のうち、主要なものについては早稲田大学地域・地域間研究機構などのサイトや『ワセダアジアレビュー』へ論文として掲載するなど、研究成果の公開についても積極的に行った。とりわけ、ウッドロー・ウィルソン・センターの協力を得て、ワシントンD.C.にて浅野を中心に行われた二度のシンポジウム(「歴史認識問題と国際社会」"Japan-South Korea Relations and Prospects for a U.S. Role in Historical Reconciliation in East Asia"は、とりわけ日米、さらに韓国をはじめとするメディアで大きく取り上げられ、政策へのインパクトという点においても、一定の成果をあげた。 これらの共同研究を通じて明らかになった重要な課題は大きくみると3点ある。第一に、理論的な課題として、歴史和解を実現するために既存の国際法の体系を根底から見直すことも視野にいれること。第二に、歴史の課題として、冷戦終結により、冷戦体制の維持のために解決されないままに埋もれた歴史和解の課題を掘り起こすこと。第三に、グローバルレベルで歴史和解の議論において少なからぬ役割を果たしてきたアクターとしての移民の主体性を視野に入れること。次年度以降はこうした課題を意識的に掘り下げていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.国際シンポ等の開催 (1)6月27日 第1回全体会議および国際シンポジ「歴史認識問題と国際社会:「日本の歴史家を支持する声明」が意味するもの」を開催(基調講演者・ジョルダン・サンドジョージタウン大学教授)。(2)10月3日 第2回全体会議を開催。グローバルレベルでの歴史和解の課題を討議。(3)10月15日 北京にて開催の国際シンポ「記憶と政治」に梅森・浅野が参加。欧米・中国の研究者らと議論。(4)11月26日 国際シンポ「和解の多様性を探る」を開催(基調講演者・Jerome Kloh WEYA駐日コートジボアール大使)。和解学の国際的な進展について、新井立志(国際トレーニング大学院准教授) を中心に議論を重ねた。(5)2016年1月11日、国際シンポ"Japan-South Korea Relations and Prospects for a U.S. Role in Historical Reconciliation in East Asia"をウィルソン・センターにて開催し、梅森・浅野が朴裕河(世宗大学校教授)Alexis Dudden(コネチカット大教授)らと議論した。(6)(3)の研究者との共同研究として、2月4日、5日 国際シンポ「東アジアのメモリーレジームの変革と記憶の行為者」を開催し、キャロル・グラック(コロンビア大学教授)林志弦(西江大学教授)らを招聘。(7)国際シンポ「東アジアの住民自決権から考える立憲主義と社会運動」を開催(島袋純琉球大学教授・呉豪人台湾輔仁大学副教授を招聘) 2.データベースの構築 野口を中心とする研究グループの精力的な活動により、移行期正義をめぐる論文の国際的なデータベースが充実し、歴史和解の国際比較研究の基礎がととのった。 3.研究成果の公開 シンポジウムでの主要な研究成果は研究機関のサイトおよび『ワセダアジアレビュー』に掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
・今年度は、初年度を通じて進展したデータベースの整備や外部の研究機関との国際的なネットワークを基盤に、とりわけ研究の理論的進展をめざす。 ・初年度においては、もっぱら研究の焦点は、東アジアの「記憶」と「歴史」に集中した感がある。今年度は、グループ全体の研究の重点を、ラテンアメリカやパレスチナ、イスラム地域などにも拡大し、併せて国際法や政治思想・政治学といった学問分野からの和解へのアプローチを統一的な課題として重点的に進めて行く。 ・比較班、理論班、アジア班のメンバーは、それぞれ個別調査を精力的に進めるほか、初年度よりも密接に他の班と連携をとり、歴史和解へむけたアジアモデルの構築という統一的な目標に向けた中間報告のとりまとめをおこなう。また、歴史和解の理論を、教育の現場にフィードバックすることを目的とし、歴史和解のための教育カリキュラムの策定に着手する。 ・欧米の紛争解決学の経験に習いつつ、東アジアの特殊性と多様性に配慮した新しいカリキュラムを、学部学生を対象とするワークショップを通じて、具体化・実質化していく。
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Research Products
(58 results)