2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H01951
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Research Institution | Institute for International Policy Studies |
Principal Investigator |
清水谷 諭 公益財団法人世界平和研究所, 研究本部, 主任研究員(移行) (20377039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 康幸 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (40322078)
市村 英彦 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (50401196) [Withdrawn]
光山 奈保子 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (90767865)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原子爆弾 / 社会的差別 / 広島 / 幼少期の影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は原子爆弾のひばくによる社会的差別の実態を定量的に明らかにすることを目的としている。初年度の平成27年度は基本的なデータセットとして、広島市及びその対照自治体としての仙台市の中高年から、健康状態、経済状態、就業状態、家族関係、社会参加活動といった生活全般にわたる包括的な情報を、面接調査(CAPI)を通じて収集した。CAPI(コンピュータによる面接調査)は、プログラム化された質問票をあらかじめインストールされたコンピュータを用いて面接を実施するもので、回答者負担の軽減、矛盾回答の減少に加え、認知力テスト(ランダムに10個の単語を提示する)や所得・消費・資産額の幅を持った回答を得るためのunfolding bracketの導入といった技術的なメリットがある。実査の結果、各自治体からの協力も得て、高い回収を得ることができた。さらに、市役所との交渉の上、健康関係の正確なデータを得るために、対象者から同意を得た場合に限り、市役所が保有する国民健康保険、介護保険、特定健診のデータ情報との突合が可能となった。また、被爆の度合いのVariationとして、原爆手帳の有無のほか、面接調査と並んで実施された留置調査(自記式)において、1945年8月6日に対象者あるいはその両親がどこにいたかを質問した。今後データのクリーニング作業を進めていかなければならないが、これまでのところ、当初の予定通り質の高いデータセットを得ることができたと考えており、今後はこのデータを有効に活用し、被爆のよる社会的差別の実態を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、交付申請書に書かれた通り、基本となるデータの収集を無事終えており、その点で予定通り順調に進展している。当初予期していない状況は発生していない。さらに、広島市役所やほかの関係機関との議論を通じて、すでに過去に収集されたデータで、本研究の目的に資するデータセットの提供を検討していただいており、それらのデータセットが入手できれば、研究は今後想定以上に進展する可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、データのクリーニングと予備的な解析を行いつつ、関係機関、有識者(海外も含む)との議論を通じて、当初の成果が得られるように、研究を進展させていく予定である。
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