2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of Long-term Consequences of the Atomic Bombing in Hiroshima
Project/Area Number |
15H01951
|
Research Institution | Institute for International Policy Studies |
Principal Investigator |
清水谷 諭 公益財団法人世界平和研究所, 研究本部, 主任研究員(移行) (20377039)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 康幸 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (40322078)
光山 奈保子 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (90767865)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 原子爆弾 / 被爆 / 社会的差別 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度に収集した、本研究の主要なデータベースのクリーニング作業を行った。本データベースは、広島市及びその対照自治体として仙台市在住の中高年から、健康状態、経済状態、就業状態、家族関係、社会参加活動といった生活全般にわたる包括的な情報を、コンピュータを利用した面接調査(CAPI)を通じて集めた。回収率も高く、質の高いデータセットが得られたが、データセットの質を高めるため、回答の矛盾あるいは無回答の項目についてのImputationの方法について検討し、順次クリーニングを行った。 同時に、論文作成のため、改めて関連文献の収集、検討を行い、それらを踏まえ、具体的な分析方法についての検討を行った。また、かつて行われた被爆者についての調査を、1960年代にさかのぼって、データや文献の在処を含め、研究者に幅広くインタビューを行った。特に、広島市にある放射線影響研究所や、慶応大学の研究者とのディスカッションを通じて、本研究の新規性と歴史的な価値を再確認することができた。すなわち、被ばくによる社会的差別の研究は昭和40年に実施された厚生省(当時)の調査に対しての反論という形で、昭和40年代に集中的に研究がなされたものの、無作為された観察データによる定量的解析という点では、研究がなされていないことが明らかになった。 最終年度である平成29年度は、具体的な論文の執筆に取り掛かり、被爆による社会的差別の実態について、初めて包括的かつ定量的な実証分析を完成させる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、繰越申請書に書かれた通り、おおむね研究は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、完成されたデータセットを利用しながら、具体的な論文執筆に取り掛かる予定である。論文は英語で執筆し、査読付きの学術雑誌に投稿する予定である。平成28年度における関係機関、有識者との議論を通じて、場合によっては、簡単な追加的な調査を行うことにより、本研究の価値を飛躍的に高められる可能性があり、その点の検討も進める。
|