2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H01981
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 裕之 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (40243977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上岡 玲子 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (30401318)
須長 正治 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (60294998)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 視覚 / 体性感覚 / 錯視 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度のキャストシャドウに関する研究において、上からの光源が仮定されていることが確認された。H28年度は、この仮定される光源方向が、頭部に対して真上なのかどうかを大学院生と共同で調査し、正確には左斜め上であるとの結論を得た。しかし、そもそも網膜像は上下左右反転しており、体勢を変えると像の向きも変化する。このような網膜像に対して、「上下」や「左右」を決定する枠組みを調べるため、視覚システムにおける「上」という概念が、重力軸によるものか、網膜座標によるものか、キャストシャドウの解釈を手がかりに調べた。その結果、頭が横に寝ている状態でも、頭の上方向からの光源を仮定し、頭部中心座標においてキャストシャドウを解釈していることがわかった。これらの結果を論文にまとめて投稿した。また、頭部に対して回転した文字の認知に関しても大学院生と共同で調査した。文字の向きが混在した文字列において、鏡映文字の判断を行わせる実験を行った。その結果、文字列の中の特定文字の心的回転は、周囲の文字との意味的まとまりの影響を受けることがわかった。 網膜上には、錐体とかん体の2つの光受容器が存在しており、その時空間特性が異なるが、日常2つの像が分離して見えることはない。しかし、周辺視において、かつ赤背景の条件において、緑や青の対象が出現するときには、点滅(フラッシュが2回)が見られることを発見し、錐体とかん体の反応潜時の差を吸収して知覚的に統合するメカニズムが存在し、それが赤背景による何らかの影響でくずれたものと考えた。この実験は、科研費(挑戦的萌芽研究16K13508)と連動している。結果は論文にまとめて投稿した。 網膜上で像が動かなくても対象が動いて見える仮現運動において、軌道を表す線がその効果を促進していることを示し、メディアへの応用の可能性について学生と共同で論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画より4ヶ月程度遅れているものと認識している。 今年度は新しい実験と論文の執筆を精力的に行い、遅れをとりもどす予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定と特に変更なく、着実にすすめていく。
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Research Products
(7 results)