2018 Fiscal Year Annual Research Report
2次元無機ナノシートのヘテロ累積による新奇機能開拓
Project/Area Number |
15H02004
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐々木 高義 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 拠点長 (70354404)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノシート / レイヤーバイレイヤー累積 / 超格子 / 協奏的相互作用 / フロキュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
Mnの一部をCoに置換したバーネサイト型層状マンガン酸化物Na0.6Mn1-xCoxO2(x=0.2-0.5)を固相合成した。得られた化合物を酸処理して水素イオン交換体に変換した後、テトラブチルアンモニウム溶液と反応させることで単層剥離し、ナノシート化した。Co2+ドープにより電気化学的安定性が高まることがわかった。 また硫化モリブデンをn-BuLiと反応させた後、水中に投入して単層剥離し1T型MoS2ナノシートを合成した。不活性雰囲気で反応させ、そのまま保存することで、高品質のミクロンサイズのナノシートが得られた。 上記1T型MoS2ナノシートと還元型酸化グラフェン(rGO)との超格子ヘテロ複合体を合成した。両者はいずれも負に帯電したコロイドであるため、rGOの水系コロイド溶液にポリカチオンを添加することで、表面電荷を正に反転させた後、MoS2ナノシートのコロイド溶液中に滴下することによりフロキュレーションを誘起させ、両者が交互に積層したヘテロ複合体を合成した。得られた材料は2種類のナノシートの協奏的相互作用により優れたナトリウムイオン電気化学的挿入・脱離挙動を示すとともに、高効率の水分解の水素発生活性を示すことを明らかにした。 酸化チタンナノシートの再凝集体の再表面に1T型MoS2ナノシートをモノレイヤー被覆したヘテロ複合体を合成した。酸化チタンナノシートのコロイド溶液をHCl水溶液中に滴下することにより、羊毛状の嵩高いナノシート再凝集体を得た。このサンプルにMoS2ナノシートコロイド溶液を滴下することにより、適切な条件下では全て再凝集体表面にモノレイヤ吸着することを突き止めた。得られたヘテロ複合体は顕著な光触媒活性を示し、メタノール水溶液からの高効率水素生成が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では1)組成、構造を精密にチューニングした無機ナノシートの合成、2)2次元ナノシートのヘテロ集積・複合化、3)ヘテロ集積体デザインによる機能開拓を重点実施項目として研究を推進してきたが、いずれにおいても当初計画を上回る十分な進展が得られていると考えている。1)については酸化物ではチタン系、マンガン系、ニオブ系を中心にこれらに様々な元素を置換、ドープしたナノシートの合成を達成するとともに、水酸化物系では多彩な組成の層状複水酸化物を単層剥離し、多様なナノシートを合成した。組成、構造を制御して合成したこれらのナノシートは様々な有用な機能を発揮することが明らかになっている。2)ではナノシートのレイヤーバイレイヤー累積のための手法として静電的自己組織化法、ラングミュア・ブロジェット法に加えて短時間で簡便な新しい成膜法としてスピンコート法を整備した。またナノシートの電荷を適切に制御した後、2種類のナノシートのコロイド溶液を混合することにより、両者が交互に積層した超格子的サンプルをバルク量合成するプロセスを開発した。3)については30年度より本格的な検討を始めており、誘電性ナノシートと強磁性ナノシートを用いて構築した超格子膜でのmultiferroic特性の発現や、酸化物ナノシートとMoS2ナノシートやグラフェンとのヘテロ複合体がこれまでの電池電極活物質を大きく上回るエネルギー貯蔵性能や水素もしくは酸素発生電極触媒機能を示すことなどが見出されており、本課題のアプローチの有効性が確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では上記の3つを重点実施項目に位置付けて研究を推進している。前半期においては1および2に重点を置いてきたが、今年度は最終年度であり成果のさらなる拡大を目指して、特に3に集中して様々なナノシートの組み合わせ・ヘテロ接合を検討し、多様な機能の開発を試みる。 具体的にはナノシートのレイヤーバイレイヤー累積技術を活用し、酸化チタンナノシートと酸化グラフェンの2層ヘテロ積層体を形成し、これをチャネルとしたFET素子を作製する。特に光照射下でのFET特性の変調について調べて、酸化チタンナノシート内で生成する光キャリアの挙動を明らかにし、光蓄電素子としての可能性を探る。 Co-Ni-Feの3元層状複水酸化物ナノシートと酸化ルテニウムナノシートが交互に積層した超格子構造材料の合成を試みる。両者は反対電荷を持った2次元物質であるため、両者のコロイド溶液を適切な量論比で混合して再凝集させる。生成物について酸素生成電極触媒機能(OER)やLi空気電池正極材料としての性能を調べる。
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Research Products
(35 results)
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[Journal Article] Self-Assembly Atomic Stacking Transport Layer of 2D Layered Titania for Perovskite Solar Cells with Extended UV Stability2018
Author(s)
Tzu-Pei Chen, Chung-Wei Lin, Shao-Sian Li, Yung-Han Tsai, Cheng-Yen Wen, Wendy Jessica Lin, Fei-Man Hsiao, Ya-Ping Chiu, Kazuhito Tsukagoshi, Minoru Osada, Takayoshi Sasaki, Chun-Wei Chen
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Journal Title
Advanced Energy Materials
Volume: 8
Pages: 1701722
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Spontaneous Direct Band Gap, High Hole Mobility, and Huge Exciton Energy in Atomic-Thin TiO2 Nanosheet2018
Author(s)
Wei Zhou, Naoto Umezawa, Renzhi Ma, Nobuyuki Sakai, Yasuo Ebina, Koki Sano, Mingjie Liu, Yasuhiro Ishida, Takuzo Aida, Takayoshi Sasaki
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Journal Title
Chemistry of Materials
Volume: 30
Pages: 6449-6457
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Two-Dimensional Unilamellar Cation-Deficient Metal Oxide Nanosheet Superlattices for High-Rate Sodium Ion Energy Storage2018
Author(s)
Pan Xiong, Xiuyun Zhang, Fan Zhang, Ding Yi, Jinqiang Zhang, Bing Sun, Huajun Tian, Devaraj Shanmukaraj, Teofilo Rojo, Michel Armand, Renzhi Ma, Takayoshi Sasaki, Guoxiu Wang
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Journal Title
ACS Nano
Volume: 12
Pages: 12337-12346
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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