2016 Fiscal Year Annual Research Report
Erファイバーコムを用いた可視域デュアルコム分光に関する研究
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15H02028
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
洪 鋒雷 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (10260217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (30635800)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ファイバーコム / デュアルコム / 分子分光 / 原子・分子物理 / 超精密測定 / 光コム / 可視域 / 量子エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者(横国大)は、デュアルコム分光の分解能を向上させるために、低繰り返し周波数の光周波数コムの開発を行っている。 光コムのキャリアエンベロープオフセット周波数(fCEO)信号の信号対雑音比(S/N)の最適化を行った結果、繰り返し周波数が約22 MHzのときに制御可能なfCEO信号を得ることができた。自己参照法によって検出されたfCEO信号のS/N比は、分解能バンド幅が300 kHzにおいて28 dBであった。このとき、モード同期レーザーの出力光スペクトルは半値全幅18 nm、中心波長1570 nmであった。 モード同期レーザーの励起用半導体レーザーの電流を制御ポートとして用いることにより、fCEOの制御に成功した。また同時に、被覆を剥いた光ファイバーにつけたピエゾアクチュエーター共振器の温調を用いて共振器長を変化させ、frepの制御も行った。 さらに可視域の分光データを得るために、コンパクトなレーザー光源による波長531 nm、561 nm及び594 nmの3つの波長帯でのヨウ素分子、ならびにフィルター型外部共振器半導体レーザーによる399 nmのイッテルビウム原子の超精密分光を行った。 大久保(産総研)は、可視波長域のデュアルコム分光に向けて、Erファイバーコム、チャープ付き導波路型PPLN結晶、高非線形フォトニッククリスタルファイバーを用いて可視波長域の広帯域コムを得た。また、フォトニッククリスタルファイバーも用いず、チャープ付きPPLNから発生する3次高調波でも同程度の可視広帯域コムが得られることが分かった。いずれの方法でもデュアルコムに使用できる可能性があり、まずは500nm帯のヨウ素分子の吸収スペクトル観測を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者(横国大)は、デュアルコム分光の分解能を向上させるために、低繰り返し周波数の光周波数コムの開発を行った。 光コムのキャリアエンベロープオフセット周波数(fCEO)信号の信号対雑音比(S/N)の最適化を行った結果、繰り返し周波数が約22 MHzのときに制御可能なfCEO信号を得ることができることを見出した。モード同期レーザーの励起用半導体レーザーの電流を制御ポートとして用いることにより、fCEOの制御に成功した。また、同時にfrepの制御も行った。 さらに、各種の光源による波長531 nm、561 nm及び594 nmの3つの波長帯でのヨウ素分子、ならびに399 nmのイッテルビウム原子の超精密分光を行い、可視域分光に関する知見を得ることができた。これらのことから、計画はおおむね順調に進んでいると考えている。 大久保(産総研)は、H28年度は、Erファイバーコムとチャープ付き導波路型PPLN結晶を用いて発生した波長780nmの第2次高調波コムを高非線形フォトニッククリスタルファイバーに入射し、短波長側が波長530 nmまで広がった可視広帯域コムを得た。また、チャープ付きPPLNからは2次高調波とともに発生する3次高調波でも波長500-570 nmの広帯域可視コムが得られることを発見した。ヨウ素分子の吸収スペクトルターゲットとし、PPLN前の分散を調整して最も効率的に波長500 nm帯のコムを発生させる条件を探った。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者(横国大)は、制御された低繰り返し周波数の光コムの安定度を評価し、長期運転における信頼性を確認する。その後、デュアルコム分光計を構築し、分子の分光を行い、低繰り返し周波数による分光分解能の向上を確認する。さらに、測定の平均時間を延ばすことにより、分光信号の信号対雑音比の向上を確認し、性能評価を行う。 大久保(産総研)は、得られた広帯域可視光コムを用いてデュアルコム分光計を構築し、インターフェログラムを取得する。このとき、光フィルタを用いて可視光コムの帯域を調整し、どのくらいまで広帯域のデュアルコム測定が行えるかチェックする。さらに、ヨウ素分子の吸収スペクトルを観測し、S/Nやスペクトル形を評価をする。
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Research Products
(26 results)