2015 Fiscal Year Annual Research Report
実験室における天然変性タンパク質のX線1分子動態計測装置開発
Project/Area Number |
15H02040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 裕次 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (30344401)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | X線 / 1分子 / 天然変性タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度研究目標は(1)X線光源集光法の最適化 (2)溶液粘性制御と分子内動態の定量的相関データの構築 (3)1分子動態計測の自動化と汎用的解析ソフト整備でした。(1)においては、研究室に昨年度末に設置した実験室レベルX線光源としては比較的高輝度なRigaku FR-Dを用いて実験を行った。本光源は2つのX線ポートがあるので、1つは単色化した実験を行い、もう1つは準白色化したX線光源で実験を行った。X線検出器としては世界で一番高感度と言われているピラタス検出器を用いた。準白色X線実験では、大型放射光施設SPring-8においてX線1分子追跡法(Diffracted X-ray Tracking; DXT)で用いている良質な金ナノ結晶で、かつ大きめの直径100nmにおいて計測したが、最終的に時分割的なデータが取れそうなラウエ回折斑点を得ることが出来なかった。これはX線の集光システムに問題があるが、これを直接的に改善するには大きな投資が必要となるので、まずは実験室レベルのラウエ実験はペンデングとした。一方、単色X線の実験では、50kV,60mAと最大強度利用ではあったが、1秒レベルの積算で金の回折リングが2本検出することができた。これは予想以上に単色化することで、検出器系のS/Nが改善されて高感度検出が実現したことになる。通常、DXTは準白色によってX線回折斑点を追跡しているが、これを単色にしても実験が可能な手法の考案がすでに完成しているので、その実践を本格的に行うこととした。(2)は放射光を用いた基本的なデータを取得した。(3)においては、現状のRiguku光源装置で利用しているCtystalClearというソフトでは実現できない角度スキャンが多々あるので、新しいソフトを自作することにして現在完成されようとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験室のX線光源を用いた実験において秒レベルのナノ結晶の回折リングの検出に成功した。これは実験室X線1分子計測の大きな第一歩である。
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Strategy for Future Research Activity |
現状のRiguku光源装置で利用しているCtystalClearというソフトでは実現できない角度スキャンが多々あるので、新しいソフトを自作することにした。実験室レベルでの光源利用によるX線1分子追跡法が実現できる基本的な技術が揃いつつある。また、この単色X線を用いた実験を、逆に放射光利用で行うならば、より小さいナノ結晶における実験が可能になるかもしれない。実験を急ぎたい。
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Research Products
(1 results)