2016 Fiscal Year Annual Research Report
Mirror symmetry conjecture and development of symplectic geometry
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15H02054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 啓史 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (50223839)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シンプレクティック幾何 / ミラー対称性予想 / 倉西構造 / フレアー理論 / 仮想基本チェイン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,倉西構造と仮想基本チェインに関する原稿を完成させ投稿することができた.Part 1は既に2015年にアーカイブ上で公開済み(arXiv:1503.0763)である。Part 2を独立したプレプリントとして読めるように修正する作業に少し時間がかかり、2016年度以内にはアーカイブ上で公開することはできなかった。(2017年4月に277ページのプレプリントとしてアーカイブ上で公開することができた。(arXiv:1704.01848))Part 2では倉西構造をもった空間の族に対して、その連続族摂動を同時に行なう一般基礎理論を、線形 K-システム(ハミルトン系のフレアーコホモロジーがモデルとなる)および樹木的 K-システム(ラグランジアンフレアー理論のA無限大代数がモデルとなる)の場合について、その詳細を与えた。 スペクトル不変量のバルク変形の論文(arXiv:1105.5123. p.174. )については、レフェリーの要求に沿って何度か加筆改訂を重ね、5年余りの歳月を経て、今年度アメリカ数学会メモワールシリーズから出版許可を得ることができた。その間随分加筆することになったが、辛抱強く対応した甲斐があり最終的に正しく理解されたようでよかった。深谷圏の生成判定の論文については、その細部のチェックに時間をかけた。まもなく公開予定である。 また、今年度6月にはhigher residueに関する研究会、9月にはMatrix factorizationに関する国際研究集会を主催し、海外の活発な若手研究者を招聘することができ、内容ある議論を行うことで本研究課題を推進する上で大きな収穫があった。 今年度はポスドクを前期に2名、後期に1名研究支援者として雇用した。1名はVafa-Witten方程式の研究を 行い、もう1名はガンマ予想の精密化においてそれぞれ着実な実績をあげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度アクセプトされたスペクトル不変量のバルク変形の論文においてみられたように、レフェリーからの要求の一つとして、倉西構造とその連続族摂動による仮想基本チェインの理論のサーベイを付録として加筆した。これはここ数年行なっている倉西構造の基礎理論の整備拡張の仕事に基づくものであり、実際、本研究課題の研究計画の一部である。その点において研究計画は順調に進展している。すなわち、倉西構造の基礎理論の整備拡張の仕事を行いそれを論文として公開していった結果、それを基礎に展開されるいくつかの我々の仕事が世界的に正しく理解され評価される状況が着実に広がってきたということであり、我々のこれまでの仕事の成果が現れてきている証拠である。今後、倉西構造の基礎理論の整備拡張の仕事の一つの成果として、Part 1(arXiv:1503.0763) およびPart 2としてアーカイブ上で公開した論文をあわせて一つのモノグラフとして出版する計画である。また、ホモロジー的ミラー対称性予想特に深谷圏の生成判定に関する論文は今年度細部の検討を行い、最終的に公開できるレベルに達した。これは2017年度にはアーカイブを通じて公開したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き、共同研究者と緊密に連携をとりながら国際共同研究を推進していく。昨年度、倉西構造の基礎理論の整備拡張の仕事は一段落したので、当面は、ホモロジー的ミラー対称性予想特に深谷圏の生成判定に関する論文をアーカイブ上で公開することを第一義的な目標として研究を進める。また今年度は、新しい方向性として、フレアー理論と超局所幾何学との関係をミラー対称性を基軸として研究を開始したい。その第一歩として、年度早々に超局所幾何学とミラー対称性予想に関するミニワークショップを開催し、専門家たちと議論を深めていきたいと考えている。
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Research Products
(14 results)