2018 Fiscal Year Annual Research Report
すばるHSCとSDSSで探る宇宙論的スケールの物質循環
Project/Area Number |
15H02064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大内 正己 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (40595716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 正夫 筑波大学, 計算科学研究センター, 准教授 (10338585)
梅村 雅之 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70183754)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光赤外線天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
すばるHSCの狭帯域フィルター撮像データの解析が終了し、広帯域フィルター撮像データを合わせて、測光的にライマン・アルファ・エミッター(LAE)の選択を行った。また、深層学習を用いた天体選択手法を開発し、100倍程度の偽ソースの中から、約95%の精度で真のLAEを選択しLAEサンプルを抽出する分類器を作った。LAEサンプルに加え、SDSS AGNデータ、HETDEXの分光データ、さらにはHI Tomographyデータを合わせて、HSC探査領域で天体(銀河およびAGN)とHIの空間分布の相互相関をとった。その結果、天体とHIで正の相関を示すものがある一方で、負の相関を示すものがあるなど大きなばらつきがあり、ガスのインフローはHIの電離の効果も含めて、予想していたよりも複雑であることが分かった。またこれと並行して、HSC探査領域における銀河のガスのアウトフローについても炭素とケイ素吸収線を含むガスの速度分布のデータから詳しく調べた。その結果、アウトフロー最大速度が800 km/s程度と大きく、遠方銀河における激しいアウトフローの証拠が見つかった。これは同じ星質量の銀河と比較した場合、現在の銀河におけるアウトフロー最大速度の3倍程度である。このアウトフローの観測結果について数値シミュレーションと比較したところ、現在から過去に向けて付随する暗黒物質ハローのポテンシャルが深くなっていくというΛCDMの構造形成の枠組みで自然に説明されることが分かった。これに加えて、炭素輝線が銀河周辺10 kpc程度に広がる様子を電波観測でとらえ、銀河の星間物質がアウトフローにより銀河周辺物質へと拡散していく観測的描像が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遠方銀河とHI tomographyデータの間の空間分布の相互相関の結果が出始めているため。さらに、HETDEXの分光データによる赤方偏移情報を含む3次元的なLAEカタログを合わせることができ、予想していた以上に信頼性の高い結果が出つつある。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では、遠方銀河とHI tomographyデータは一部分のものに限ってテストを行なっている状況だが、今後は、データ全体を使って空間分布の相互相関をより大きなスケールに広げ、本研究の完成を目指す。
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Research Products
(8 results)