2017 Fiscal Year Annual Research Report
Charge symmetry breaking in Lambda-N interaction investigated via hypernuclear gamma-ray spectroscopy
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15H02079
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 裕和 東北大学, 理学研究科, 教授 (10192642)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 実験核物理 / ハイパー核 / ストレンジネス / ガンマ線分光 / バリオン間相互作用 / 荷電対称性の破れ |
Outline of Annual Research Achievements |
Λハイパー核の荷電対称性の破れを調べるため、J-PARC K1.1ラインにて、7Li(K-,π-)7ΛLi*, 7ΛLi*→4ΛH*+3He反応により4ΛHの励起状態を生成し、ゲルマニウム検出器群Hyperball-Jで4ΛHの1+→0+遷移のγ線を同時計測する実験(J-PARC E63)の準備を以下のように進めた。 (1)4ΛHの弱崩壊からのπ-を検出して4ΛHの生成を同定するためのプラスチックカウンターシステムについて、さらなる詳細なシミュレーションを行い、3ΛHなど他のハイパー核フラグメントと分離可能なことを確かめた。(2)これらのシミュレーションをもとに検出器の試作機を製作して詳細なテスト実験を行った結果、シンチレータへのファイバーの接合位置等に改良の余地があることがわかり、これをもとに再度実機の設計を行った。(3)同様の検出器を用いて同じK1.1ラインで別の実験((π-,K0)反応による3ΛHハイパー核の寿命測定)を計画しているイタリア・トリノのグループと共同で検出器開発を進めることとし、打ち合わせを行った。(4)前年度に完成したK1.1ライン用ビームファイバートラッカー(BFT)については、宇宙線を用いてテストを行い、十分な検出効率と時間分解能を確認した。(5)DRS4チップを用いた新しい読出し回路(ADC)のテストを開始した。 上記(3)の(π-,K0)反応を利用すると、4ΛHe,4ΛHよりも重いハイパー核について荷電対称性の破れの測定実験ができるので、その具体的可能性を検討した。 関連実験としてH27年度に4ΛHeのγ線分光実験とともに実施した19ΛFのγ線分光実験のデータ解析を進め、発見した19ΛFの4つのγ線をもとに、19ΛFのレベル構造を確定し、結果をPRLに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4ΛHのγ線分光実験で必要となるπ-弱崩壊測定用のカウンター製作については、試作機の詳細なテスト実験の結果、改良の余地があることがわかり、実機の設計をやり直すなどしたため予定より遅れているが、他の検出器や回路系の準備は順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
4ΛHのγ線分光実験(J-PARC E63実験)については、実験を実施するJ-PARCのK1.1ラインの建設が大幅に遅れ、2021年の予定となってしまったため、本科研費の研究期間内に行うこととしては、本実験用の検出器の性能向上に努めつつ実験準備を整えておくことと、同型の検出器を用いて、より重いハイパー核の荷電対称性の破れを測定するための次期γ線分光実験の準備を進めておくこと、を目標とした。これまでにπ-弱崩壊測定用カウンターの製作に遅れが出ているものの、本実験への影響はまったくない。また、すでに完了した4ΛHeのγ線分光実験、および、4ΛHeの実験と同時に行った関連実験である19ΛFのγ線分光実験についても、すでに結果を論文発表済みではあるもののさらなるデータ解析を進めて荷電対称性の破れに関係するΛ核子相互作用の情報を引き出すこととした。
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Remarks |
2018年4月20日 科学新聞 「重いハイパー核の精密構造 世界初 国際チームが解明」
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Research Products
(16 results)