2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02087
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 卓史 京都大学, 理学研究科, 教授 (80155837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 修一 法政大学, 理工学部, 教授 (30425409)
田中 貴浩 京都大学, 理学研究科, 教授 (40281117)
武者 満 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 准教授 (40303028)
阿久津 智忠 国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (40564274)
安東 正樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90313197)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重力波 / 宇宙重力波干渉計 / レーザー / 無重力実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年9月14日、LIGO干渉計2台が強い重力波信号GW150914を検出した。これは初の重力波直接検出という歴史的快挙であるとともに、連星ブラックホールが存在することを示す初の観測であった。一方、このようなブラックホール連星の形成過程について新たな謎も浮上した。この重大な発見を受け、Pre-DECIGOのサイエンスの再検討を短期間で集中的に行った。その結果、Pre-DECIGOは0.1-1Hzと低周波に感度を持ち、GW150914のような大質量のブッラクホール連星を長期間観測することが可能であること、合体前の連星のパラメータを高精度で測定できること、連星形成プロセス解明に鍵となる情報を提供できる可能性などを示した。また、地上干渉計と連携することで、相対論の検証を含め基礎物理学に対する貢献の可能性も示した。 装置開発では、レーザー干渉計の構成検討と開発、および、安定化レーザー光源の開発を進めた。Pre-DECIGOの干渉計としては、直径約30cmの鏡をもちいてフィネス30程度のFabry-Perot光共振を構成することとした。このフィネスを達成するのに必要な鏡の反射率は90%前後であり、困難はない。これに対し、光共振器内に安定に光を共振させ続けるためには、曲率半径としては60 km前後が望ましい。この曲率半径を無制御で達成するため、ヒーターによる熱変形で鏡の曲率を補正する方法に着目し、その検証実験の準備を進めた。安定化レーザー光源においては、ヨウ素飽和吸収分光による安定化光源のブレッドボードモデルの開発を進めた。その結果、0.5Hz/sqrt(Hz)の周波数安定度、10の(-7)乗 /sqrt(Hz)の相対強度安定度という、要求値を満たす結果を得た。今後は、小型軽量化した3台目のの開発を進め、それらの相互比較による絶対安定度評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標としていたPre-DECIGOのサイエンス検討とレーザー干渉計、安定化レーザー光源の検討と開発という当初の目標に従って開発を進めた。特に、aLIGOによる重力波信号の初観測結果を受けた検討を進め、Pre-DECIGOの科学的な重要性をより明確な形で示すことができた。具体的には 赤方偏移z=1で重力波の振動数 ν~0.05Hz, 初期の軌道長半径a~4x10の9乗 cmの場合重力波の振幅hc~5.7x10の(-22)乗, 回転数N~10万回, 継続時間~260万秒、 イベント数 年間~3000程度である事が解った。z=0.1ならイベント数は年間7で位置を確度で10分、時間で10秒精度で決められる可能性がある事が解った。装置に関してはpre-DECIGOの干渉計としては、直径約30cmの鏡をもちいてフィネス30程度のFabry-Perot光共振を構成することを決定出来た。このフィネスを達成するのに必要な鏡の反射率は90%前後であり容易である。これに対し、光共振器内に安定に光を共振させ続けるためには、曲率半径としては60 km前後が望ましい。この曲率半径を無制御で達成するため、ヒーターによる熱変形で鏡の曲率を補正する方法に着目し、その検証実験の準備を進めた。安定化レーザー光源においては、ヨウ素飽和吸収分光による安定化光源のブレッドボードモデルの開発を進めた。その結果、0.5Hz/sqrt(Hz)の周波数安定度、10の(-7) 乗/sqrt(Hz)の相対強度安定度という、要求値を満たす結果を得た。今後は、小型軽量化した3台目のの開発を進め、それらの相互比較による絶対安定度評価を行う予定である。以上の結果、有望なPre-DECIGOのターゲットができた点とpre-DECIGO実現のための、衛星の設計が進んだので概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザー干渉計の開発においては、2つの衛星間を結ぶレーザー光学系と、サイズや保証品質を除いて基本的に同等の光学系を用いた評価装置を構築することを目指す。鏡は、衛星内で無重力保持されている状態を模擬するためにねじれ振り子と可動ステージ (直径30cm程度)によって支持する構成にする。これによって、初期捕捉から動作時の性能評価までの実証を行う。光学系はまずは光学定盤上に組むが、動作確認後、順次、モノリシック光学系へと統合を進める。本試験装置によってそれぞれの実現性を実験的に確かめる。 次年度には、より小型堅牢化した構成のブレッドボードモデル 3号機の製作を行い、2号機との相互比較による絶対安定度評価を行う。全6自由度のドラッグフリー/加速度計制御の開発では、全自由度制御の実現と微小重力実験のプラットフォーム実現を目的としている。これまで、バネ吊り下げ型(アルミTM+シャドウセンサ+マグネットコイル)では全自由度制御に実績あるが、それを拡張して、無重力下での制御を目指す。石英TM+光センサ+コイルコイルからなるモジュールを開発し、バネ懸架/落下塔/弾道飛行による自由落下環境の元で全自由度の位置制御/感度評価を行う。また、uNスラスタスタンド(微小推力計測計/超精密加速度計)の開発もし、真空環境下でコールドガスジェットスラスタ等のスラスタの推力雑音の評価を行う。aLIGOの重力波信号の初観測によって、2つの太陽質量の30倍程度のブラックホールの連星合体の存在(GW150914)が明らかになった。Pre-DECIGOでも重要な観測ターゲットになることが期待される。それも含めて科学的価値の検討、ミッション要求やシステム要求の設定等の検討をする。GW150914については種族III星起源、原始ブラックホール説、PopII説等があり、これらを区別するにはDECIGOが重要である事を示す。
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Research Products
(25 results)
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[Presentation] Torsion Bar Antenna Experiments2016
Author(s)
M. Ando
Organizer
Low-Frequency Gravitational Wave Antenna Workshop
Place of Presentation
Australian National University, Canberra
Year and Date
2016-03-02 – 2016-03-02
Int'l Joint Research / Invited
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