2017 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of bread board model of space gravitational wave interferometer DECIGO
Project/Area Number |
15H02087
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 卓史 京都大学, 理学研究科, 名誉教授 (80155837)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 修一 法政大学, 理工学部, 教授 (30425409)
田中 貴浩 京都大学, 理学研究科, 教授 (40281117)
武者 満 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 准教授 (40303028)
阿久津 智忠 国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (40564274)
安東 正樹 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90313197)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 宇宙重力波干渉計 / レーザー / 無重力実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
連星中性子星合体GW170817からの重力波が観測され、予想通りガンマ線バーストを伴い、電磁波観測から重元素の起源、重力波の伝播速度、高密度物質の状態方程式、ハッブルパラメターに関する情報が得られた。そのため、B-DECIGOのサイエンスの再検討を行った。その結果、B-DECIGOは0.1-1Hzと低周波に感度を持ち、GW170817のような連星中性子星の合体を長期間観測することが可能であること、合体前の連星のパラメータを高精度で測定できることなどの可能性がわかった。また、地上干渉計と連携することで、相対論の検証を含め基礎物理学に対する貢献の可能性も示せた。開発面では2017年度は、B-DECIGOのより具体的なミッション検討を進めた。宇宙機のミッション部構成、リソース配分、軌道設計、制御系、ミッションシーケンス等の検討を進め、ミッション全体としての成立性検討を進めた。その結果、重力波観測のための要求を満たす構成が可能であるとの結論を得た。一方、より長期間の観測時間の確保や、より効率的なリソース配分を継続して検討する必要性も明らかになった。装置開発の面では、レーザー干渉計の構成検討と開発、および、安定化レーザー光源の開発を進めた。干渉計としては、直径約30cmの鏡をもちいてフィネス100程度のFabry-Perot光共振を構成することとした。重力波による基線長変動を双方向から読み取るための光学系の検討と、それを確認するための地上実証研究の構成の検討を進めた。安定化レーザー光源においては、ヨウ素飽和吸収分光による安定化光源のブレッドボードモデルの開発を進めた。その結果,0.5Hz/sqrt(Hz)の周波数安定度、10^(-7)/sqrt(Hz)の相対強度安定度という要求値を満たす結果を得た。小型軽量化した3台目の開発を進め、それらの相互比較による絶対安定度評価も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
B-DECIGOのサイエンス検討とレーザー干渉計、安定化レーザー光源の検討と開発という当初の目標に従って開発を進めた。特に、LIGOやVIRGOによる重力波観測結果を受けた検討を進め、B-DECIGOの科学的な重要性をより明確な形で示すことができた。低周波数(合体の数か月前)から重力波信号の観測が可能というB-DECIGOの特徴をいかし、連星中性子星合体を、合体時刻で1秒程度の精度、天球上の方向で数平方分の決定精度で事前アラートを出すことが可能という結果を得ている。これは、電磁波望遠鏡で合体の瞬間を観測することが可能になることを意味しており、例えばガンマ線バーストのカウンタージェットからの電磁波観測など、従来にない観測が可能になる。装置に関してはB-DECIGOの干渉計としては、直径約30cmの鏡をもちいてフィネス100程度のFabry-Perot光共振を構成することになっている。この擬態的な光学系設計とともに、地上実証装置の検討も進めた。安定化レーザー光源においては、ヨウ素飽和吸収分光による安定化光源のブレッドボードモデルの開発を進め、0.5Hz/sqrt(Hz)の周波数安定度、10**(-7)/sqrt(Hz)の相対強度安定度という、要求値を満たす結果を得た。小型軽量化した3台目の開発を進め、その相互比較による絶対安定度評価を行った。以上の結果、B-DECIGOの観測目標が明確になり、B-DECIGO実現のための衛星の設計が進んでいると言える。したがって、概ね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ひき続き、B-DECIGO/DECIGOのサイエンス検討、ミッション検討と基礎技術開発を進める。レーザー干渉計の開発においては、2つの衛星間を結ぶレーザー光学系と、サイズや保証品質を除いて基本的に同等の光学系を用いた評価装置を構築することを目指す。鏡は、衛星内で無重力保持されている状態を模擬するためにねじれ振り子と可動ステージ (直径30cm程度)によって支持する構成にする。これによって、初期捕捉から動作時の性能評価までの実証を行う。光学系では光学定盤上に組むが、動作確認後、順次、モノリシック光学系へと統合を進める。本試験装置によってそれぞれの実現性を実験的に確かめる。また、より小型堅牢化した構成のブレッドボードモデル2,3号機の改良と、それらの間の相互比較による絶対安定度評価をすすめる。ドラッグフリー/加速度計制御の開発では、全自由度制御の実現と微小重力実験のプラットフォーム実現を目的としている。これまで、バネ吊り下げ型では全自由度制御に実績あるが、それを拡張して、無重力下での制御を目指す。石英TM+光センサ+コイルコイルからなるモジュールを開発し、バネ懸架/落下塔/弾道飛行による自由落下環境の元で全自由度の位置制御/感度評価を行う。また、uNスラスタスタンド(微小推力計測計/超精密加速度計)の開発もし、真空環境下でコールドガスジェットスラスタ等のスラスタの推力雑音の評価を行う。B-DECIGOでもaLIGOで発見されたGW150914のような太陽質量の30倍程度の連星ブラックホールの合体は重要な観測ターゲットになることが期待される。それも含めて科学的価値の検討、ミッション要求やシステム要求の設定等の検討をする。GW150914については種族III星起源、原始ブラックホール説、PopII説等があり、これらを区別するにはDECIGOが重要である事を詳細に示す予定である。
|
Research Products
(37 results)