2015 Fiscal Year Annual Research Report
稀ガンマ崩壊モード探索による宇宙における元素合成過程の解明
Project/Area Number |
15H02091
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川畑 貴裕 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80359645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保野 茂 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 客員主管研究員 (20126048)
伊藤 正俊 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助教 (30400435)
松田 洋平 甲南大学, 理工学部, 研究員 (50569043)
秋宗 秀俊 甲南大学, 理工学部, 教授 (60319829)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 実験核物理 / ガンマ崩壊幅 / 陽子非弾性散乱 / 逆運動学 / 極薄固体水素標的 / GAGGシンチレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
原子核の捕獲反応は宇宙における元素合成を駆動する重要な反応であり、その速度は反応の中間状態として生成される共鳴状態の寿命とガンマ崩壊への分岐によって決定される。しかし、多くの捕獲反応ではガンマ崩壊への分岐比が極めて小さく、放出されるガンマ線を直接に測定して分岐比を決定することは難しい。そこで、本研究では捕獲反応における共鳴状態の稀ガンマ崩壊モードを高感度で探索する新しい手法を確立し、宇宙進化における元素合成過程を明らかにすることを目的とする。具体的には、逆運動学条件下における陽子非弾性散乱の精密測定を行い、ガンマ線を測定することなく低バックグラウンドでの稀ガンマ崩壊モード探索を実施する。 平成27年度は極薄固体水素標的の開発を行った。水素ガスを封入する標的セルの形状と、冷凍機システムの運転モードを最適化することにより、これまでの標準的な標的厚さが1 mmであったところ、0.5 mm以下の薄膜化に成功した。さらに、極薄固体水素標的をビームライン上に設置して測定を行うための駆動装置を設計・製作した。 一方、陽子非弾性散乱における散乱陽子を検出するための、反跳陽子検出器の開発を行った。本研究では、高計数率環境下において陽子を検出する必要があるため、我々は、高時間分解能・高エネルギー分解能をもつシンチレーターとして近年開発されたGAGGに着目して、その性能評価を行った。その結果、GAGGには強いクエンチング効果が認められ、高LET放射線に対して発光量が有意に減少することが判明したものの、本研究における陽子検出に対する要請は充足することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、主要な技術的課題の1つは、大面積固体水素標的の薄膜化であったが、厚さが 0.5 mm以下でありながら、直径 15 mm をもつ固体水素標的の作成に成功した。また、高計数率環境下において測定可能な反跳陽子検出器の開発においても、近年、開発されたGAGGシンチレータを導入することにより、所期の目標性能を実現できることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
極薄固体水素標的と反跳陽子検出器の実機を完成させ、平成28年度中に本実験と同じセットアップによるテスト実験を実施する予定である。 また、現在、極薄固体水素標的システムの稼働に必要な水素ガスハンドリング装置は、東北大学が所有する装置を借用している。平成28年度予算でガスハンドリング装置を整備し、独立したシステムとして完成させる。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Search for the rare gamma-decay mode in 12C2016
Author(s)
M. Tsumura, T. Kawabata, S. Adachi, T. Furuno, A. Koshikawa, M. Murata, T. Morimoto, A. Tamii, T. Hashimoto, K. Hatanaka, Y. Matsuda, K. Miki, C. Iwamoto, T. Itoh, M. Miura, J. Zenihiro, S. Kubono, M. Itoh, Y. Maeda, S. Sakaguchi, H. Akimune, H. Fujimura, I. Ou
Organizer
Symposium on Nuclei in the Cosmos
Place of Presentation
新潟市朱鷺メッセ
Year and Date
2016-06-19 – 2016-06-24
Int'l Joint Research
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[Presentation] Search for the rare gamma-decay mode in 12C2016
Author(s)
M. Tsumura, T. Kawabata, S. Adachi, T. Furuno, A. Koshikawa, M. Murata, T. Morimoto, A. Tamii, T. Hashimoto, K. Hatanaka, Y. Matsuda, K. Miki, C. Iwamoto, T. Itoh, M. Miura, J. Zenihiro, S. Kubono, M. Itoh, Y. Maeda, S. Sakaguchi, H. Akimune, H. Fujimura, I. Ou
Organizer
11th International Conference on Clustering Aspects of Nuclear Structure and Dynamics
Place of Presentation
イタリア ナポリ
Year and Date
2016-05-23 – 2016-05-27
Int'l Joint Research
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[Presentation] GAGGを用いた荷電粒子検出器の性能評価2016
Author(s)
越川亜美, 川畑貴裕, 古野達也, 津村美保, 村田求基, 森本貴博, 黒澤俊介, 山路晃宏, 村上力輝斗, 堀合毅彦, 知場啓志
Organizer
日本物理学会第71回年次大会
Place of Presentation
東北学院大学
Year and Date
2016-03-16 – 2016-03-22