2017 Fiscal Year Annual Research Report
Search for rare gamma-decay modes to understand nucleosynthesis in the universe
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15H02091
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川畑 貴裕 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80359645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保野 茂 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 客員主管研究員 (20126048)
伊藤 正俊 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (30400435)
松田 洋平 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助教 (50569043)
秋宗 秀俊 甲南大学, 理工学部, 教授 (60319829)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 実験核物理 / ガンマ崩壊幅 / 陽子非弾性散乱 / 逆運動学 / 元素合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子核の捕獲反応は宇宙における元素合成を駆動する重要な反応であり、その速度は反応の中間状態として生成される共鳴状態の寿命とガンマ崩壊への分岐比によって決定される。しかし、多くの捕獲反応ではガンマ崩壊への分岐比が極めて小さく、放出されるガンマ線を直接に測定して分岐比を決定することは難しい。そこで、本研究では捕獲反応における共鳴状態の稀ガンマ崩壊モードを高感度で探索する新しい手法を確立し、宇宙進化における元素合成過程を明らかにすることを目的とした。 平成28年度までの研究によって逆運動学条件下における陽子非弾性散乱を用いた測定手法の有効性を確認し、12C核のEx = 9.64 MeVに存在する3-状態からの稀ガンマ崩壊への分岐比を決定するために、固体水素標的に炭素ビームを照射する測定を実施した。 測定後には直ちに実験データの解析に着手したが、テスト段階での測定の結果とは反し、測定、固体水素標的の厚さが時間とともに変化していることが判明し、標的厚の評価に従来の想定以上の時間を要してしまった。この問題については、散乱12Cと反跳陽子のエネルギーと角度を用いて運動学的解析を行うことにより、標的厚の時間変化を補正する手法を開発することで解決し、現在は解析の最終段階として、12Cと陽子の同時検出効率を決定するためのシミュレーション計算を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の項でも述べたように、固体水素標的の厚さが時間変化してしまうという想定外の問題はあったものの、解析手法の改良によりこれを解決した。現在は12Cの3-状態におけるガンマ崩壊確率を決定するための最終段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
実施中のシミュレーション計算によって検出効率を評価し、12C核の3-状態のガンマ崩壊確率を決定する。さらに、このガンマ崩壊確率をもとに、高温度環境下におけるトリプルアルファ反応率を評価し、その成果を国内外の研究集会において公表するとともに、学術論文を執筆する。
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Research Products
(8 results)