2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本内湾の堆積物を用いた高時間解像度の環境復元と人間社会への影響評価
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15H02139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川幡 穂高 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (20356851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 香子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (30610399)
鈴木 淳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究グループ長 (60344199)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気温 / 水温 / 人間社会 / 気候変化 / 大気中の二酸化炭素濃度 / 日射量 / 火山の噴火 / エルニーニョ・南方振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
内浦湾,広島湾,大阪湾の堆積物試料については,分析を行なった.下北沖のコアについても解析を行い,大平山元遺跡で発掘された世界最古の土器が誕生した環境を復元し,論文を発表した. 土器の発明と発展は,考古学研究にとり重要である.中東では,農業開始後,数千年を経て土器が出現した.ヨーロッパでは,農業開始と土器が出現はほぼ同時期であった.日本を含めた極東では,土器の出現は農業開始に数千年先行した.日本の場合,縄文時代の開始は,基本的に縄文土器の出現とそれに伴う文化の誕生によってもたらされた.土器の発展は,気候変動やそれに伴う生態学的な変化により促されたようであるが,定量的な議論がされてこなかった. アルケノン水温と気温の高相関を利用した新方式を用いて行なった(誤差0.2℃程度).本州最北端の下北半島沖(MD01-2409地点)で,過去2万7千年間の復元された温度(気温,水温)は,最高水温が19.4℃(6,660年前),最低水温が8.7℃(推定気温は5.2℃,15,680年前)であった.この最寒冷期は,最終氷期最盛期でなくハインリッヒ事変に相当していた.しかも,中国の鍾乳洞の石筍記録より夏期アジアモンス-ンが弱体化していた時期であった.最寒期の温度を現在の水温(~15.7℃),気温(~16.7℃)と比べると約7~11℃低かった. 世界で最古級の土器と石鏃は,ホモ・サピエンスが日本列島に居住して以来,日本列島の寒冷地域で,しかも縄文人が経験した中で最寒期に出現したことがわかった.夏期の気候は,現在の北海道東部の根室や納沙布岬の現在それより若干寒いことを示していた.食料は,豊富な魚介類に頼ることとなり,最初期の縄文人は,縄文土器を用いて,海洋や河川水の水産資源を調理し,「海鮮鍋」を楽しんでいた.この結果は,近年発表された,土器付着有機物の精密化学分析の結果と整合的である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
噴火湾のコアについて50年の解像度でのアルケノン水温分析は予定どおり終了している.大阪湾の試料について,これまで分析したデータをプロットしたところ,国際誌に発表した広島湾の結果と整合的であった.この後,付加的な試料の分析を行い,国際誌に投稿する.下北沖のコアは,27000千年間の長期の環境復元のためのもので,人類との関係については当初,議論するのがむつかしかったが,世界最古級の土器の出現時の気候復元といったテーマで国際誌に論文を執筆した.
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Strategy for Future Research Activity |
噴火湾のコアについて50年の解像度でのアルケノン水温分析は終了し,気温の推定を行ない,花粉情報との関連を解析している.今後,スペクトル解析を行なう,関連する環境指標の解析と人間活動への影響に関する論文を国際誌に投稿すべく論文執筆中で70%終了している. 大阪湾のコアについて,アルケノン水温に基づく気温の復元に関して,より高時間解像度に対応するデータを提出する.特に,古墳時代の環境復元研究については,これまで解析がすすんでいなかったので,重点期間としてより高時間解像度で解析する.
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] An X‐ray spectroscopic perspective on Messinian evaporite from Sicily: Sedimentary fabrics, element distributions, and chemical environments of S and Mg. Geochemistry2016
Author(s)
Yoshimura, T., Kuroda, J., Lugli, S., Tamenori, Y., Ogawa, N. O., Jimnez‐Espejo, F. J., Isaji, Y., Roveri, M., Manzi, V., Kawahata, H. & Ohkouchi, N.
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Journal Title
Geochemistry Geophysics Geosystems
Volume: 17
Pages: 1383-1400
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Evaluation of oxygen isotope and Mg/Ca ratios in high-magnesium calcite from benthic foraminifera as a proxy for water temperature.2016
Author(s)
Maeda, A., Fujita, K., Horikawa, K., Suzuki, A., Yoshimura, T., Tamenori, Y., and Kawahata, H.
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Journal Title
Journal of Geophysical Research
Volume: 122
Pages: 185-199
DOI
Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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