2017 Fiscal Year Annual Research Report
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15H02147
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
片山 郁夫 広島大学, 理学研究科, 教授 (10448235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 博 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (20400426)
河合 研志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20432007)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 摩擦特性 / 粘土鉱物 / 地震発生プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度までに開発した湿度制御装置を組み込んだ摩擦試験機によって,粘土鉱物の摩擦実験を行った。試料としては,イオン交換したCa型とNa型のモンモリナイトを準備し,異なる湿度条件で実験を行った。その結果,NaモンモリロナイトとCaモンモリロナイトともに、湿度が増加するのに伴って摩擦係数が減少する傾向を示した。湿度 10 %ではNaモンモリロナイトが0.33、Caモンモリロナイトが0.25なのに対して、湿度90 %ではNaモンモリロナイトが0.062、Caモンモリロナイトが0.037であった。また、同じ湿度では常に、CaモンモリロナイトよりもNaモンモリロナイトのほうが高い摩擦係数を示した。CaモンモリロナイトがNaモンモリロナイトよりも高い摩擦強度を示す傾向は、Behnsen and Faulkner(2013)と同様である。彼らによれば、水和エネルギーが小さいほど層間の距離が近く結合力が強まるため、Ca2+よりも水和エネルギーの小さいNa+を層間にもつNaモンモリロナイトのほうが高い摩擦強度を示す。湿度の増加に伴って摩擦係数が下がる傾向は、水和状態を変化させた先行研究(Bird, 1984; Ikari et al., 2007)と調和的である。水和に伴う摩擦係数の低下を説明する主なメカニズムとして、層間の膨潤に原因を求める説(Bird, 1984)と粒子間の膨潤に原因を求める説(Moore and Lockner, 2007)がある。今後は水和によって粘土鉱物の摩擦係数が下がるメカニズムについて検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り湿度制御システムを開発し,湿度を制御した環境下での摩擦試験に成功し,いくつか成果も出始めている。これらの研究成果については論文を準備し,国際誌に投稿済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,モンモリロナイトに加え,他の粘土鉱物の摩擦試験を湿度を制御した環境で行い,粘土鉱物の摩擦を支配する素過程を調べる予定である。なお,これまでの研究成果として、水和状態と層間陽イオンの影響が摩擦強度に大きな影響を与えることが分かった。今後はこれらの成果が地下深部での摩擦強度を考える上でどのような影響を及ぼすかについても検討したい。
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Research Products
(13 results)