2015 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病に強相関する核酸メチル化の超高感度検出化学技術開発
Project/Area Number |
15H02190
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 晃充 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60314233)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / DNAメチル化 / 金属錯体 / RNA修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病に強相関する核酸メチル化を化学的手法で検出することを目指した。その達成には、超高感度であること、配列選択的であること、高効率であることなどが必要である。オリジナルな化学プローブをオリジナルな化学反応をベースにして創出し、その高感度化を図ることによって生活習慣病をメチル基レベルで可視化する臨床応用可能な技術を包括的に開発することを行った。 特に、5-ヒドロキシメチルシトシン(hmC)の効率的検出を目指して研究を推進した。hmCは、TETタンパク質によるmCの酸化によって生じるDNA脱メチル化経路の鍵物質である。グリオーマ、大腸がん、乳がん、メラノーマを含む固形腫瘍の多くで、5hmCレベルは低い。一方、腫瘍術後には、高メチル化が修正されるためにhmC量が増えると言われている。CとmCからhmCを区別するための基本原理としてわれわれは、hmCのアリルアルコール構造(C6=C5-CH2OH)を標的にした二核ペルオキソタングステン酸カリウム塩、K2[{W(=O)(O2)2(H2O)}2 m-O)] 2H2OによるhmC特異的化学反応を創出した。生成物として、トリヒドロキシル化されたチミン(thT)が得られた。これを鋳型にしてDNA増幅反応を仕掛けることによって、元々hmCがあったところにTが入るので、CやmCと区別して高性能に検出することができた。さらに、thTを含むDNAを鋳型にしたDNA増幅反応の条件を探索した結果、オリジナルのhmCの相補側にアデニンが取り込まれることができた。対照的に、mCやCの反対側の位置には、グアニンだけが取り込まれることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、thTを含むDNAを鋳型にしたDNA増幅反応の条件の探索だけを進める予定であったが、研究が予定以上に進展した。オリジナルのhmCの相補側にアデニンが取り込まれる反応の条件が決定し、ゲノムを用いて一塩基レベルでのhmC検出をワンポットで行うことができる実験システムを構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAのメチル化・脱メチル化に関係する臨床サンプルを用いて、われわれが見いだした様々な検出系の実証実験を進めていく。
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Research Products
(1 results)