2015 Fiscal Year Annual Research Report
角膜から学ぶ光学的および力学的に高機能な材料の開発
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15H02200
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹岡 敬和 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20303084)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 複合材料 / 角膜 / 透明材料 / ゲル / 高力学特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、今回、従来の複合材料の力学物性を持ちながら、角膜の光学特性を併せ持つ材料の開発に取り組みました。弾性率の高いフィラーとしては、粒径の揃ったシリカ微粒子を用いています。例えば、シリカ微粒子をゲル化溶液に分散させると、シリカ微粒子の量が少ない場合には、その量と共に、懸濁液は白くなっていきます。これは、シリカ微粒子とゲル化溶液の屈折率差が違うため、光の散乱体として働き、その数が増えるからです。ところが、シリカ微粒子の量がある値以上になると、懸濁液は透明になってきます。つまり、シリカ微粒子が秩序構造を形成することで、散乱された光が相殺されるからです。さらに、この状態で、ゲル化溶液を重合して、シリカ微粒子の集合体をゲルのマトリックスによって包括すると、用いたゲルと比べてずっと丈夫で透明な複合材料となることを明らかにしました。つまり、高力学特性と透明性を兼ね備えた複合材料が得られることを、角膜の構造に倣うことで開発できたのです。現在、約200nmの粒径の微粒子を利用することで、青色で透明な角度依存性のない構造発色性材料が得られることが分かりました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者は、自らが取り組んでいた“粒子径の揃ったサブミクロンサイズのゲル微粒子懸濁液”の研究における発見とマサチューセッツ工科大学のベネデック博士による“角膜の透明性”に関する研究報告から、微粒子やファイバーの集合体を用いれば、1)高強度で透明性の高い、角度依存性のない構造発色性材料が開発できるという着想の下、研究を取り組んでいました。微粒子の粒径やファイバーの直径が揃ったコロイド物質が短距離秩序を有する状態で配列すると、干渉性散乱が生じることで短距離秩序の距離の約2倍の長さの波長の光のみがあらゆる方向に散乱され、他の波長の光は相殺されるという原理を利用すれば、短距離秩序の距離に応じて無色透明で角度依存性のない構造発色材料を構築できると考えたからです。その内容がほぼ実現しつつあります。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、微粒子の粒径を200nmのもののみでなく、様々な粒径の微粒子を利用して、色々な色の角度依存性のない透明で構造発色性を示す複合材料の開発に取り組みます。また、マトリックスとしては、ゲルだけでなく、様々な高分子の検討も行う予定です。この原理を利用すれば、透明なコンクリートも作れるようになり、様々な建材としても利用できるようになるでしょう。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Preparation of Structurally Colored, Monodisperse Spherical Assemblies Composed of Black and White Colloidal Particles using a Micro Flow-Focusing Device2015
Author(s)
Teshima, M., Seki, T., Kawano, R., Takeuchi, S., Yoshioka, S., Takeoka, Y.
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Journal Title
J. Materials Chemistry C
Volume: 3
Pages: 769-777
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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